チンパンジーの離合集散
"離合集散"
唐突ですが一般の方は当然ながら動物園の飼育係でも「聞いたことない。」と思うかもしれません。
動物園にはいろいろな動物を飼育展示していますが、その中でもチンパンジーは複雑な社会を形成する動物です。チンパンジーは最も人間に近いとされており、社会性も"人間臭い"と言えると思います。
そんなチンパンジーの群れの大きな特徴として"離合集散"が挙げられます。チンパンジーはオスを中心とした父系社会を形成しますが、1~数頭の小さなグループが常に群れから出たり、また群れに合流したりを繰り返し、複雑な社会を形成しています。これを"離合集散"と呼びますが、今回はこの"離合集散"を人為的に行いました。
他のチンパンジーに比べて気の優しいアキコ(メス)は、群れ内のオスやお転婆な若いメス個体らに気後れする場面が昨年度からたびたび見られていました。
そこで、アキコを群れから分離することにしました。群れから離れ、久しぶりに一人暮らししたアキコは、悠々自適に生活したことで精神的にも落ち着くことができました。前触れなくアキコが見られなくなり、心配された方には申し訳ありませんでした。4月10日よりメス群(アキコ・カズミ・カラン・コエ・よつば)での飼育を再開しています。
今後はチンパンジーの生態についても屋内展示場などに掲示していきます。(スロースターターなのでそこはご勘弁を!)これからもチンパンジーたちを温かく見守ってください。
動物園飼育第二係 近藤 裕治