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オフィシャルブログ

ツシマヤマネコ繁殖でつないだバトン

2021年05月15日(土)

人工哺育となったツシマヤマネコの赤ちゃんの元気な様子はすでに5月11日の公式ブログ(→コチラ)でお知らせしたところですが、お母さんのレイラももちろん元気で当園の「獣医師」により帝王切開による腹部術創の抜糸も無事にすませました。当園のツシマヤマネコの飼育下繁殖は順調に育てば本州で3例目になります。また今回の繁殖の成功は動物園の「獣医師」「飼育員」と大学の「研究員」のスタッフ連携により実現できたと考えています。

「飼育員」は目視だけでなく、専用の監視カメラでヤマネコたちの日々の行動を観察して、普段の様子だけでなく繁殖期の発情兆候などを把握します。

ビデオ行動監視の実施.JPGビデオ行動監視の実施

さらに繁殖成功のカギとなるのがホルモンの動向です。性ホルモンを分析することで、いつ排卵したのか、さらに妊娠したのかどうかを早い段階で知ることができます。こちらは(公社)日本動物園水族館協会(JAZA)との共同研究として当園は岐阜大学動物繁殖学研究室の「研究員」の皆さんにヤマネコの糞中ホルモンの検査をお願いしています。そのデータのおかげで動物園として出産準備をしっかりと整えることができました。

大学によるホルモン検査の様子(提供:岐阜大学).jpg大学によるホルモン検査の様子(提供:岐阜大学)

ツシマヤマネコは長崎県対馬にだけ生息する小型の野生ネコで、環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠA類に指定される、日本産哺乳類のなかで最も絶滅の恐れの高い動物です。ツシマヤマネコを飼育下で繁殖させることは、その個体数を増やすことにつながり、将来の野生復帰につなげることができます。現在、東山動植物園のツシマヤマネコ舎は環境省の定める国内の拠点施設の一つとして絶滅の恐れのある動物たちを守る「保全」の最前線の一翼を担っています。生まれたツシマヤマネコの赤ちゃんは日本産動物の宝として大切に育てます。

動物園長 黒邉 雅実

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