コロブスの指
5月22日、アビシニアコロブスのアビ(メス11歳)がサル舎に帰ってきました。アビはもともとサル舎で飼育していましたが、体調を崩してしまったことで動物病院付属の獣舎で療養していたのです。
サル舎へ戻す前に動物病院で健康診断を行いました。そのおかげでコロブスの前肢をじっくり観察する機会に恵まれました。
アビシニアコロブスの属するコロブス亜科のサルたちの特徴のひとつに、親指が短いという傾向があります。以前、当園で飼育していたキンシコウもコロブス亜科に属していますので、親指が短かったことを覚えています。
ところが、アビの親指があるはずの部位は、痕跡どころか起伏すらなくまっすぐなのです。
「コロブス」の語源はギリシャ語の「欠落した、切断されたもの」の意味をもつ言葉が由来だそうです。アビの手を触りながら、この命名はほんとに的を射ているものだと実感することができ満足した次第です。
飼育第二係 澁谷 康