桜の回廊だより 〜エピローグ〜
2016年04月29日(金)
今年2月末から4月中旬まで、この春も桜の回廊では様々な桜が咲き誇りました。桜の回廊には全国から約100種の桜が集められています。全部はとてもご紹介しきれませんが、いくつかピックアップして約2か月弱の間の桜を振り返ります。
一般的には、ソメイヨシノの開花時期を標準に、
それより前に咲くものを「早咲き」、同時期に咲くものを「同時期」、遅く咲くものを「遅咲き」とすることが多いようです。
早咲きの代表種の河津桜(カワヅザクラ)が咲き始めたのは2月20日頃でした。例年より1週間ほど早かったようです。3月2日頃には満開に。東山に春を告げる桜です。
少し遅れて寒緋桜(カンヒザクラ)が咲きました。濃いピンク色で下向きに咲く花が特徴です。花後は花房ごと下に落ちます。
これら早咲きの桜を皮切りに、3月末になると桜の回廊はどんどんと花が咲き進み、一番賑やかな時期を迎えます。
斜面側は満開ですが、写真右側の河津桜はすっかり葉桜です。
ソメイヨシノが咲き始めた頃に満開になったのは、神代曙(ジンダイアケボノ)や圓通寺桜(エンツウジザクラ)などの桜でした。
なお、植物園のソメイヨシノは動物園より5日ほど遅く咲き始めます。同じ園内でも森の中にある植物園の方が、気温が低いためでしょうか。
桜の回廊以外でも園内のあちこちで、山桜(ヤマザクラ)や大島桜(オオシマザクラ)などが咲き始め、そろそろ他の樹木達の芽吹きが始まる時期でもありました。
ソメイヨシノが満開の頃には、御車返(ミクルマガエシ)や佐野桜(サノザクラ)が満開になりました。
そして、ソメイヨシノが散り始める頃、桜の回廊では斜面上部の遅咲きの桜のエリアが花盛りを迎えます。思川(オモイガワ)や雨宿(アマヤドリ)、紅豊(ベニユタカ)などの桜が見頃を迎えました。花弁が緑色の鬱金(ウコン)や御衣黄(ギョイコウ)も咲き始めます。
ソメイヨシノが散った4月15日になっても、遅咲きの桜は見頃に咲いています。関山(カンザン)、早晩山(イツカヤマ)、奥州里桜(オウシュウサトザクラ)、兼六園菊桜(ケンロクエンキクザクラ)などが咲いていました。
今年、最後に撮影したのは4月21日。紅虎の尾(ベニトラノオ)と松前八重寿(マツマエヤエコトブキ)でした。先の遅咲きの桜もまだまだ咲いていました。
本当はもっともっとご紹介したい桜もあるのですが、とても頁が足りません。一概に桜と言っても、色も形も香りも、こんなにも違いがあるのかと今更ながら驚かされます。来年の春には是非、皆様にもご自身の目で見て、香りを嗅いで、桜の回廊の素晴らしさを体感していただきたいと思います。
サクラの開花状況を皆様にお知らせしてきた「桜の回廊だより」ですが、今年は今回の投稿を最後とさせていただきます。
また来年の春、桜のお知らせをお楽しみに!
植物園緑地造園係 平泉 智子