ゴリラ近況 ネネたくさん食べてねの章
今回は、キヨマサ(オス1歳)の母親のネネ(推定年齢41歳)への食事の手助けのお話です。
キヨマサを産んだときのネネの年齢は40歳(推定)で、ゴリラとしてはたいへんな高齢での出産でした。
幸いキヨマサは順調に成育していますが、育児は体力のいる仕事です。体重10kgを超えたキヨマサを抱いて移動するだけでも大変なことですし、加齢による体力の衰えから体調を崩すことがないか毎日心配しています。
しかも、キヨマサを抱きかかえていますと、エサを手に入れることが他のゴリラに比べ遅れ気味で、十分な量を確保できないことが多いようです。
さらにネネは歯周病らしく、歯がずいぶん抜け落ちています。そのため食べる速度が遅くなり、ますます食べる量が減ってしまいます。
そこで対策として、不足しがちなネネの食事量を補うために、毎日3回、蒸して軟らかくしたサツマイモ、カボチャなどの野菜やバナナ、キウイなどの軟らかい果物を担当者の手から直接、手渡すことを行っています。
ネネだけがもらっていることが、シャバーニ(オス17歳)にバレますと、嫉妬から攻撃を受けることになりますので、みんな公平にアイ(メス11歳)も含め、3頭同時に餌を手渡しています。
でもここだけの話、実はアイとシャバーニには、肥満を避けるために果物やイモは使わず、キュウリやナスなどカロリーの低いもののみ与えています。そしてお互いが何をもらっているのかを分からないようにするために、それぞれ少し距離をおいて餌を与えています。これほんとに内緒ですよ。
ネネが体調を崩すことはキヨマサの成育にも影響を及ぼします。
もちろんキヨマサが独り立ちしても、いつまでも元気で過ごしてほしいですね。
動物園飼育第二係 澁谷 康