ライオンの飼育管理について
当園のライオンの体型や飼育環境について、ご心配の声をいただいております。ライオンは現状においてやや痩せ気味ですが、健康管理のために意図的に給餌量を調整しているところであり、ライオンは健康な状態を維持していますのでご安心ください。ライオンの飼育管理については以下の通りご説明いたします。
1 ライオンの体型と健康管理について
当園では、動物の健康状態を客観的に評価するため、
「AZA((北米)動物園水族館協会)ライオン飼育マニュアル」
https://nagonline.net/wp-content/uploads/2014/05/Lion-Care-Manual-2012-NAG-EDIT1.pdf
を参考に、ボディコンディションスコア(BCS)という9段階の指標を用いて、飼育担当者と獣医師らが定期的に評価を行っております。10月30日にも獣医師と動物園長による確認と評価を実施しました。
「AZAライオン飼育マニュアル」によると、動物園で飼育される動物は、一般的にBCSが中程度(4〜6)の範囲内で維持することが推奨されています。参考として、野生下のライオンのBCSは2.5~5.25の範囲にあり、平均は4とされています。
当園のライオンは、今年の春にはBCSが「6」から「7」の範囲(「6」は脂肪が目立ち始め、全体的に丸みを帯びてくる状態で、「7」はかなりの量の脂肪で覆われ、全体的に丸く膨らんだ印象になる状態です。)にあり、適正値に比べてややふくよかな状態でした。
過剰な体脂肪は、将来的な泌尿器系の疾患などの健康リスクを高める可能性があるため、春から計画的に餌の量を調整し、体重管理を行ってまいりました。
健康管理のために意図的に調整した結果、現在のBCSは「3」から「4」程度(「4」は理想的な体型の下限にあたり、健康的で引き締まった状態で、「3」は全体的に脂肪が少なく、骨格が分かり始める状態です。)とやや痩せ気味になっています。そのため、10月中旬から徐々に給餌量を増やし始めたところです。
2 給餌について
給餌の内容や量は、飼育担当者と獣医師が協議の上、各個体の健康状態に応じて決定しています。
かつては、野生の生態を考慮して「絶食日」を設ける考え方が主流でした。しかし、近年のアニマルウェルフェアの観点からは、飼育下において完全な絶食日を設ける必要はないという考え方に変わってきています。当園ではこの考えに基づき絶食日は設けておりませんが、消化器への負担軽減や採食行動の多様性を考慮し、日ごとに給餌量と給餌内容に変化をつけています。
現在、金曜日は給餌量を減らして丸鶏1羽分と牛レバー500g程度の量にしていますが、その他の曜日は平均して総量で1頭あたり約4kgの給餌をしています。なお、1ヶ月前までは金曜日を除き減量のため平均して1頭あたり約3kgの給餌をしていました。給餌内容は馬肉を中心に牛レバーや鶏胸肉、丸鶏等で変化をつけております。
3 飼育環境について
屋内観覧の窓については、屋内の温度と湿度をエアコンによって動物が快適に過ごせるよう管理しているため、閉めていることがあります。ただし、気候によっては換気のために窓を開けることもあります。
東山動植物園では、すべての動物たちが健康で快適に過ごせるよう取り組んでおります。今後とも、当園の動物たちを温かく見守っていただけますと幸いです。
動物園 江口








