ツシマヤマネコのストレス評価をしてみました。
Cat Stress Score(CSS) (Kessler & Turner, 1997)を使用して各個体のストレス評価をしてみました。
勇希(オス8歳・東山歴5年):2
Beny Sumo(オス推定6歳・東山歴1年):3
レイラ(メス6歳・東山歴5年):2
りん(メス2歳・東山歴1年):2
-評価日R7.09.18
野生由来のベニーはまだまだ時間がかかりそうですね。勇希は人工哺育ですし1になるほどリラックスしてもいいと思うのですが、さすが野生動物といったところでしょうか。
これはネコの姿勢や行動からストレスレベルを7段階(数字が大きい程ストレスレベルが高い)で評価しようというものです。
注意点は、気温が低かったりしてリラックス姿勢がそもそも取れない状態の場合は評価できないことです。また評価者に反応して姿勢や行動が変化してしまっても評価できないので、その場合は隠れて観察します。今回は監視カメラ映像を一日分見て評価しました。
動物のストレスを測るにはストレスホルモン(コルチゾール)を測定したりしますが、CSSは観察によって評価できるので簡単かつ動物に負担なく誰でも実施できます。
人間誰しも思い込みがあるので、基準をつくり数値化することで出来るだけ主観を除いて、客観的で正確な評価をすることが重要です。
(他にも血液検査の値、体重(BW)、ボディコンディションスコア(BCS)、糞状スコア(FS)などが動物の健康の指標としてありますが、より正確な指標ほど動物への負担が大きく実施が難しいです。ちなみにその負担を小さくするためのトレーニングがハズバンダリートレーニングです。)
イエネコのCSSがツシマヤマネコにも適用できるかの根拠はありませんが、同じネコ科動物なので「まあ、いけるだろ」というノリでやってみました。ツシマヤマネコは他の動物に比べて園館移動が多いのでCSSなどを利用してより効果的に環境順応してもらいたいなと思っています。
CSSは猫の行動の知識があればどなたでも簡単に実施できます(その分評価者によるズレが多少ありますが)。興味がある方はお家の猫や動物園のネコ科動物でやってみてはどうでしょうか。
※和訳に自信がないので、「Kessler, M. R., & Turner, D. C. (1997). Stress and adaptation of cats (Felis silvestris catus) housed singly, in pairs and in groups in boarding catteries. Animal Welfare, 6(3), 243-254. 」も読んで欲しいところです。
動物園 加藤