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ツシマヤマネコの人工繁殖と勇希

2025年01月25日(土)

令和7年1月20日にツシマヤマネコの「勇希(オス・7歳)」がよこはま動物園ズーラシアから戻ってきました。
昨年の11月26日に転出し、約2ヶ月の横浜出張でした。

勇希.JPG【勇希】

日本動物園水族館協会(JAZA)では、ツシマヤマネコの飼育下繁殖率向上と遺伝的多様性の確保のために人工繁殖に取り組んでいます。実用的な技術となれば、自然繁殖ではうまく子供が作れない個体の子孫を残すことが可能となります。また、将来的に個体の移動をせずに野生個体の遺伝子を飼育下個体群へ導入するなどの技術に発展することも期待できます。

ツシマヤマネコの人工繁殖は(パイロット種のアムールヤマネコで成功したのちに)2021年に成功し、「ひい(メス)」が第1号として誕生しています。この年は「ひい」を含めて全国で4頭の子が誕生したので、当園に集めてミキシングを実施しました。

ネコ科動物の人工繁殖は世界中で研究が進められていますが、なかなか困難な道のりのようです。ツシマヤマネコの人工繁殖初成功例は論文にもなっていますので、興味がある方は(英文ですがオープンアクセスです)是非読んでみてください。
「Azumano, Akinori, et al. "Successful laparoscopic oviductal artificial insemination in the endangered Tsushima leopard cat (Prionailurus bengalensis euptilurus)." Animals 12.6 (2022): 777.」

前置きが長くなりましたが、今シーズンは当園飼育中の「勇希」が人工繁殖に供されることとなりました。そのために、よこはま動物園ズーラシアへ移動し、「ゆり(メス・6歳)、つむぎ(メス・2歳)、こう(オス・6歳)」と共に人工授精を実施しました。「勇希」はとても優秀なオスですので、自然繁殖のみならず人工繁殖でも良い結果を残してくれると期待しています。吉報を待ちましょう。

当園に戻ってきた勇希は今後、昨年同様「Beny_Sumo(オス・推定4歳)」と共に自然繁殖に従事します。今シーズンも当園から吉報をお届けできるよう努めてまいります。

(ツシマヤマネコ飼育園は各園で役割分担をしており、当園は自然繁殖、よこはま動物園ズーラシアは人工繁殖を担当しています。詳しくは、環境省九州地方環境事務所発表の令和6年-7年ツシマヤマネコ飼育下繁殖計画をご参照ください。)

また、昨年12月22日に「Beny_Sumo」に対しても採精を実施しました(日本獣医生命科学大学堀教授、北海道大学柳川准教授、岐阜大学楠田教授の3名の先生方と2名の学生が来園されて実施)。これは、繁殖シーズンに向けて精子活性の確認を主目的としておこなったもので人工授精に向けたものではありませんが、採取した精液は冷凍保存され人工繁殖技術の発展に活用されます。

ツシマヤマネコの未来のためにネコもヒトも大忙しです。
ちなみに、勇希は移動の影響もないようで、到着から数時間で2か月前と変わらない様子を見せてくれました。

動物園 加藤

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