カンガルーとワラビ―の生活空間を整える
2024年09月14日(土)
今年はカンガルー、ワラビ―共に仔が無事に袋で育ち出袋しました。
アカカンガルーの仔 ソール(オス)
ベネットアカクビワラビーの仔 フルック(メス)
情報誌ひがしやま65号の飼育だよりでは、工事や苦手な台車の音に対する対策として杭を打ち、縦ブラインドとして機能させることでワラビ―を落ち着かせる取り組みを紹介しました。そして、カンガルーにも設置しました。
カンガルーもワラビ―と同じ種類の音が苦手な動物です。
苦手な音を聞くと驚き、仲間に危険を知らせるため、後ろ足で地面を蹴りパーンと音を立てて合図をだします。この音をきっかけに群れ全体がパニックを起こし走り出してしまいます。
そこで驚くことが減るように杭の縦ブラインドを設置することで、カンガルーが背の高いイネ科植物に囲まれて身を隠しているように感じ安心することを狙いました。
設置してみると落ち着きが出ると共に、パニックを起こした際には杭を運動場のリミットと認識するようで、今のところフェンスに激突し大ケガをするようなことはなくなりました。今まではこういった事故が、袋の仔の死亡や成長途中の個体が死亡してしまう原因のひとつでした。
しかし、相変わらず聞き慣れない苦手な音、見たことの無いものに対してパニックを起こし走り回ってしまうことがあります。これはカンガルーやワラビ―が野生下で生きていくために獲得した防衛方法であり、消え去ることはありません。
引き続き注意して飼育を続けたいと思います。
また、休息しているカンガルーを拍手で驚かし動かそうとする方が見えますが、拍手も苦手な音で、ケガをすることにつながります。
わざと音を立てたりせずに、静かにカンガルーとワラビーを観察してください。
動物園 神野