ワルダー奮闘中
当園の5頭のアジアゾウの中で最高齢のワルダー(メス・推定53歳)は現在の運動場を利用するようになってから約2年半が経ちました。慎重な性格のワルダーは、初めは室内から外に出ることも躊躇していたのですが、今の運動場にもだんだんと慣れてきて徐々に移動できる範囲が広がってきました。今、移動範囲を広げるために取り組んでいる場所はトラ舎方面のエリアです。
【写真①2023年5月の様子】
【写真②2023年8月の様子】
【写真③2024年2月の様子】
写真のとおり去年の5月から9カ月経ってようやくここまで(写真③)来れるようになりました。気分が乗っている時は食べに来ますが、そうではない時は食べに来ないので、エサを入れる網の位置を低くしたり、たまにサトウキビ(甘くておいしい)を入れてみたり、観覧エリアから鼻出しができる小窓があり、そこからエサを入れてみたりしていろいろ変化をつけてワルダーに来たいと思わせるような工夫をしています。このあとの動画では、鼻でつかんだ草を後ろに下がってから食べている様子がみられます。その理由は、ワルダーにとってその場所はまだ完全に安心できる場所ではないということが考えられます。ワルダーがこの辺りで採食している場面に出くわしたら、緊張して食べているのか、余裕を持って食べているのかじっくりご覧になって想像してみてください。短期間では大きな変化はありませんが、ワルダーは一歩一歩、いや半歩ずつですが進んでいます。
動物園飼育第一係 谷 佳明