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ツシマヤマネコ「したる」再公開につきまして

2023年11月25日(土)

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前回の公開終了後、母親の「レイラ」と叔母の「結」の間でおのおのコミュニケーションを取りながら過ごしていました「したる」ですが、この度公開を再度行う運びとなりました。

先日の新着のお知らせにもありますように、前回の公開と同様に"フラッディング"と"普及啓発"を目的としています。

2023年9月28日_前回フラッディング最終日の様子.JPG

※フラッディング...新しい刺激・環境に「安全だと」長時間経験させることにより嫌悪環境を好環境に転換する方法

前回の公開の際、「したる」を見て"ツシマヤマネコ"ひいては"対馬の自然環境"に関心を持っていただくようになったというお話も聞きまして喜ばしく思う反面、(私どもの伝え方が悪い部分もあり)多少誤解を招いてしまっている部分もあるようでしたので、ここで改めて説明したいと思います(長いです、書くの大変でした)。

我々、日本動物園水族館協会(JAZA)は環境省の委託を受けてツシマヤマネコの生息域外保全を行なっています。

生息域外保全の大きな目標は再導入を行うことです。が、生物の保全は大前提として「生息域内保全」により自然環境の回復⇒生息数の回復を図ります。あくまで、生息域外保全は「保険・バックアップ・プランB」です。目標の再導入も生息域内保全により必要がなくなれば行うことはありません。

ツシマヤマネコの現状は、元々300頭程度生息していたとされる個体数が100頭程度まで減少しています。ただし、域内保全を行ってきた結果、2010年代後半の第五次調査において減少傾向が止まったと判断されています。また、一時は対馬の下島地域では姿が見られなくなっていましたが、分布拡大に伴い下島での生息も確認されるようになっています(このまま増加傾向になっているといいのですが)。

なので、現時点で再導入の予定はありません。

つまり、「したる」が対馬の自然に帰ることはありません。

生息域外保全(JAZA)は、これから先、再導入の必要性が出てしまった際の個体を創出できるように遺伝的多様性を可能な限り保ちつつ(重要)、安定した個体数まで飼育下個体群を増やすことが当面の目標になります。そのためにも、飼育繁殖技術の確立・人工授精技術の確立に尽力していますが、ツシマヤマネコの繁殖は一進一退です。そんな中で繁殖した個体を飼育下繁殖に適した状態に育成する技術も求められ、「ミキシング」や「フラッディング」といった手法を実施しています。

(なお、対馬のツシマヤマネコ野生順化ステーションでは、飼育下繁殖個体を使用した野生復帰技術の開発が進められています。「したる」の姉「さすな」も2021年12月から約1年間参加していました。加えて、飼育下繁殖の実施も計画されています。)

2021年10月19日_ミキシングの様子.jpg

また、ツシマヤマネコの人工哺育は今まで7頭の実施例がありますが、今のところオスでは「勇希」、メスでは「ひい」が、仔を成すことができています。

「したる」はツシマヤマネコ飼育下個体群の創始個体No.1「ハジメ」の玄孫にあたります。「勇希」の仔を次世代へ繋げていかなければ「ハジメ」の血統が途絶えてしまう可能性があります。ですが、「勇希」の仔は現在3頭共に人工哺育で成育しており、当園が(私が?)仔の育成において比較的頑張る理由の一つです(ちなみに、「ハジメ」同様野生からの導入個体である「信玄」の血縁も背負っていので、2血統の存続がかかる状況です)。

複数の血統の維持は、先に出てきた遺伝的多様性の維持に必要不可欠です。「勇希」の仔らを繁殖可能なツシマヤマネコに育成しなければなりません。さらに、新たな血統も増やしていかなければなりません。

↑と言う状況がツシマヤマネコ生息域外保全に参加する当園の今です。

したる.jpg

「したる」が当園にいる間、フラッディングにより適応能力向上をしつつ多くの方に普及啓発し、ツシマヤマネコの現状に興味を持っていただくことで、皆様に応援・支援していただけることと期待しています。

動物園飼育第一係 加藤 俊紀

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