ナメクジ見つけました -名古屋の外来種の話-
ナメクジを知らない人はいないと思います。
では、見たことのあるナメクジはどちらでしょうか?
①は「チャコウラナメクジLehmannia valentiana」で、イベリア半島(ヨーロッパ)原産の外来種です。
日本には戦後に侵入し、人的環境でもよく見られ現在は本州・四国・九州に拡がっています。6cm前後になります。
チャコウラナメクジは名前の通り、甲羅を前部に持ち体の途中に区切りがあるように見えるので、すぐに見分けがつくかと思います。日本の侵略的外来種ワースト100に選ばれていて、農産物や園芸植物に被害をもたらしています。
ちなみに漢方で「蛞蝓(かつゆ)」と言われる生薬になるのがコウラナメクジの仲間だそうです。
②は「ナメクジMeghimatium bilineatum」で、"日本在来種のナメクジ"です。
10cm前後になります。小鳥とリスの森で見つけました。鳥の餌を食べて大きく育っていますね。初めて見たときはその大きさに驚いたものです。
日本最古と言われる拳遊びの虫拳では「ヘビがカエルに勝ち、カエルがナメクジに勝ち、ナメクジがヘビに勝つ」とされますが、ヘビに勝てるナメクジなんているのでしょうか?
ナメクジネタは人気漫画の影がチラつきますね。
知っている「ナメクジ」はどちらでしたでしょうか?
名前は知られていても、いつの間にか外来種に入れ替わっているなんてことはよくあります。それも「本物」を知らなければ気づくこともできません。百聞は一見に如かずとはよく言ったもので、生きている状態を見ることが一番わかりやすいです。身近な生き物に目を向けてみませんか?
"日本のいきもの"もオススメですよ。
※種の同定については正確ではない可能性がありますが、わかりやすさを優先するために断定的な言い方をしています。
動物園飼育第一係 加藤 俊紀