植物管理人による湿地園の観察会(ボタニカルトーク)を開催しました!
令和5年7月22日(土)午前11時から植物園湿地園にて、愛知県のレッドリストで準絶滅危惧(NT)に分けられている「ヒナノシャクジョウ」などについて、植物管理人の市野業務技師による観察会を行いました。
中央の白い植物がヒナノシャクジョウ 緑はシダ類
ヒナノシャクジョウ(和名)は、ヒナノシャクジョウ科の多年生草本で、葉緑素を持たず、菌類から栄養を得る菌従属栄養植物です。茎等全体は白っぽく、背丈は3~8cmほどの小さな植物です。東山動植物園では、令和元年に湿地園で生息が初めて確認されました。
開花期が短く、終わりに近づいたため、急きょ観察会を開催して紹介させていただきました!
観察している様子
また、ヒナノシャクジョウと同じく菌従属栄養植物の「ホンゴウソウ(和名)も今、花が咲いています。
ホンゴウソウも同じ菌類から栄養を得て生育していると言われていますが、ホンゴウソウは赤褐色の植物体でヒナノシャクジョウとは草姿が異なります。
こちらは花期が長く、夏の終わりごろまで見ることができます。東海地方にゆかりのある植物で三重県四日市市楠町本郷にて最初に発見され、朝ドラのモデルの牧野富太郎により、その地名にちなみ「ホンゴウソウ」の名がつけられています。
環境省レッドリストのカテゴリーで絶滅危惧Ⅱ類(VU)に分けられています。
中央の赤褐色の植物がホンゴウソウ
さらに、今まさに「ムラサキミミカキグサ」「ヌマトラノオ」も咲いており、「ミソハギ」が咲き始め、「サギソウ」のつぼみも上がって来ていてこれからも楽しみがいっぱいです!
ムラサキミミカキグサ(中央)
ヌマトラノオ
ミソハギ
湿地園では今の季節いろいろな昆虫も見ることができます。
人気なのは「ハッチョウトンボ」です。よく晴れた日、木道近くでよく見かけます。
体調2~3cmくらいで、オスは真っ赤な身体がよく目立ちます。メスは、黄色っぽい身体の色です。
オスのハッチョウトンボ
湿地園の植物は、環境変化に影響を受けやすく周辺からの乾燥化や外来植物の移入などにより元来の生息生物の種類や数は減少しやすいと言われています。東山周辺は湧水が多く、以前は湿地が多く見られたようですが、今は都市化で宅地開発が進みとても減少しているようです。
小さな生き物たちが集う湿地園。
どうぞ温かい目で見守っていただきながら、次の世代へもこの豊かな自然をつなげていきたいものですね。
最後に、当日暑い中、湿地園にお集まりいただいた皆さまありがとうございました。
暑い夏でしか見られない植物の姿がありますので、暑さ対策をしっかりして皆さまご来園ください。心よりお待ちしております。
植物園緑地造園係 今井田 春美