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(植物園長の庭)新年あけましておめでとうございます。 ~おしべ・めしべの名付け親「伊藤圭介」生誕220年を迎えて~

2023年01月02日(月)

新年あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。

今年は、伊藤圭介生誕220年を迎えます。

伊藤圭介(いとうけいすけ)を知ない方も多いと思いますので、簡単にその業績をご紹介します。
伊藤圭介(1803~1901)は江戸末期から明治初期にかけて医学、博物学、植物学の分野で活躍した郷土の偉人です。

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長崎でシーボルトに師事し、日本で初めて植物の学名とリンネの植物分類法を紹介し、「おしべ」、「めしべ」、「花粉」などの言葉も作りました。

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【「フロラ・ヤポニカ」ツュンベリー著(1784年)】

ツュンベリーは「分類学の父」と称されるスウェーデンのリンネの高弟で、日本の植物を研究し「日本植物誌」(フロラ・ヤポニカ)を著しました。
文政11年(1828)圭介は長崎を去る時、シーボルトよりこの本を譲り受け、翌年この本を訳述し「泰西本草名疏(たいせいほんぞうめいそ)」を著しました。

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「泰西本草名疏」は、上・下・附録の三冊からなり、上・下には686種の植物について、ラテン語で学名がABC順に書かれていて、下に和名が記されています。泰西というのは今の西欧のことで、名疏というのは解説というほどの意味です。

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【右はツュンベリーの肖像画】

写真6.JPG【「泰西本草名疏」附録 リンネの24綱の植物分類図】


医師としても種痘を名古屋で最初に広めるなど数多くの業績を残しています。

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【「ターヘル・アナトミア」クルムス著】

圭介が長崎遊学の際、オランダ通詞の吉雄権之助から「ターヘル・アナトミア」を譲り受けました。前野良沢、杉田玄白、中川順庵ら7名が翻訳して「解体新書」として発表した本で、当園で所蔵する本を含めて現在日本に4冊しか残っていない貴重な本です。

伊藤圭介の業績について、ほんの一部しか触れることができませんでしたが、明治32年に当時の代表的な総合雑誌「太陽」が、政治、文学、美術、法律、教育、科学、医術、宗教、軍事、農業、工業、商業の12部門から一人ずつ傑人を投票で選んでいます。伊藤圭介は、伊藤博文(政治)、福沢諭吉(教育)、渋沢栄一(商業)らと並び、科学者として明治12傑に選ばれています。

当園では伊藤圭介に関する資料を多数所蔵しており、植物会館内の「伊藤圭介記念室」で所蔵品の一部を定期的に入れ替えて展示しています。

写真8.JPG写真9.JPG

また、植物園門に近い「圭介の庭」などには伊藤圭介にゆかりのある植物を展示しています。

【当園にある伊藤圭介の名の付く植物】
イヌヨモギ(キク科)Artemisia keiskeana Miq.
シモバシラ(シソ科)Keiskea japonica Miq.
アシタバ(セリ科) Angelica keiskei (Miq.)Koidz.
イワナンテン(ツツジ科)Leucothoe keiskei Miq.
ヒカゲツツジ(ツツジ科)Rhododendron keiskei Miq.
スズラン(キジカクシ科)Convallaria keiskei Miq.
イトア オリエンタリス(ヤナギ科)Itoa orientalis Hemsl.

写真10.jpg【シモバシラ(シソ科) Keiskea japonica Miq.】

シモバシラはシソ科の植物で、氷点下になる冬の寒い朝に、枯れた茎から氷の結晶が噴き出し、成長して「霜柱」になることから、名前がついているといわれています。


今年は、生誕220年を記念して講演会や企画展を予定しています。
より多くの方に足をお運びいただき、尾張名古屋が生んだ偉人の業績を触れていただければ幸いです。

植物園長 岡本 誠

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