ニホンザル舎の緑化
再生プランにより2010年にコンクリートで覆われた衛生管理重視の動物舎から草木に覆われた動物福祉重視の動物舎へと改修されたニホンザル舎は、始めこそ緑にあふれていましたが、ホンドサルたちが食べる・折る・引き抜くなど草木をいじめ続けた結果、低木は枯れ、芝も範囲が縮小していきました。
サルたちは植物を餌にするほか、好奇心が旺盛でおもちゃにして遊んでしまうことから「ニホンザル舎の緑化」は多くの動物園がトライ&エラーを繰り返している難題の一つです。
ある研究では樹木を守るためには金網や電柵で対策したうえで、サルの密度1頭当たり100㎡程が限界だろうと言っています。当園は18頭・約750㎡。1頭当たり約40㎡と足りていません。サルが好まず萌芽力の強い樹種を植えてもすぐにバキバキに折られて枯れていました。
そんな中、歴代の諦めの悪い飼育担当者が何人かいた結果、ついに!ニホンザル舎に木が生えてきました!!複数の担当者のリレーによる苦節10年弱。ようやく緑化の兆しが見えてきました(このブログが出るころにはなくなっている可能性もありますが...)。
確認できたのはクワ、コムラサキ、ミツバアケビで、どれも勝手に生えてきて30cm程のサイズまで成長しています。オオバコなどの雑草の種子を蒔いて草を生やす、木の枝を毎日のように与えて植物への興味を薄める、ロープなどで空間利用を増やす、なんてことをやってきましたが、どんどん大きくなって緑あふれるニホンザル舎になってほしいものです。
動物園飼育第一係 加藤 俊紀