飼育員もビックリ! タガメ幼虫がメダカを誘導して捕食!
世界のメダカ館では、子供に大人気のタガメを飼育展示していますが、5月25日に1ペアで産卵が確認されました。私が出勤した時にはすでに産卵が終了しており、早朝に産卵行動があったようです。
卵は全部で111個あり、ふ化前日の6月4日には、卵が大きく膨らんで幼虫が育っていることが分かります。卵には模様があり、まるで大きく育った野菜のようにも見えます。
写真②:大きく膨らんだ卵
6月5日に、99匹ものたくさんの幼虫たちがふ化しました。幼虫は親とは異なり体に独特の模様があります。ふ化した時の大きさは全長約1センチで、とても貧弱な印象の幼虫です。ふ化した日からすぐにエサを食べ始め、じぶんより大きなメダカもしがみついて捕食します。食べるといっても、鋭い口をメダカに差し込み、肉を溶かしながら吸い取ります。
写真③:幼虫の飼育容器
写真④:タガメの幼虫
写真⑤:メダカをすぐに捕食
幼虫は、メダカを捕食する際に驚くべき行動をとる個体がいます。なんと、鋭い前脚を小刻みに動かして魚をおびき寄せ、瞬時に捕獲するのです。前脚の先には、小さな白い斑紋があり、前脚を動かすとまるでエサが動いているように見えるのです。自分より左側にメダカがいる場合は右側の前脚を動かし、右側にいる際は左側の前脚を動かしてうまくメダカを誘導しています。この行動はふ化後すぐに見られ、1齢幼虫(まだ1回も脱皮していない幼虫)で多く確認できるようです。まだまだ分からないタガメの生態ですが、これからも観察を続けていきたいと思います。
(動画にはメダカが食べられるシーンが含まれています。)
動物園飼育第二係 水野 展敏