葉脈(ようみゃく)。
葉を見ただけで植物の名前がわかるようになれば、植物にかなり詳しいと言えるでしょう。
もちろんカエデの仲間やマツの仲間のように、葉に特徴のあるものもありますが、日本にある樹木の多くは楕円形や三角形に近い形です。
そこで植物の名前を調べるうえで注目したいのが葉脈です。
葉脈とは葉の表や裏にある筋の部分をいいます。葉脈の入り方は種により異なるため、名前を知るうえでひとつの手がかりになります。
【ウワミズザクラ:バラ科】
では葉脈とはそもそも何のためにあるのでしょうか。
単なる模様ではないはずです。
葉脈には大きく三つの役割があります。まず一つ目は、葉がフニャフニャにならないように支える骨格の役割です。二つ目は、根から吸い上げた水を葉に運ぶ役割(道管)です。道管は葉の表側にあります。三つ目は、葉で作られた養分を運ぶ役割(師管)です。師管は葉の裏側にあります。
葉脈のうち、葉の元から伸びる最も太いものを主脈(しゅみゃく)、そこから分かれるものを側脈(そくみゃく)、最も細いものを細脈(さいみゃく)といいます。種によっては、葉を陽の光に透かしてみると細脈まではっきりと見えるものもあります。葉脈を観察すると人の毛細血管のように、葉の隅々にまで広がっているのがわかります。このように葉脈は重要な役割を担っています。
なお葉脈は、双子葉植物(アサガオ、アブラナ、オオバコなど)は網状脈(もうじょうみゃく)、単子葉植物(イネ、ササ、ユリ、アヤメなど)は平行脈(へいこうみゃく)となっています。
【マルバヤナギ:ヤナギ科】網状脈
【アジサイ:アジサイ科】網状脈
【ハマボウ:アオキ科】網状脈
【ヤマユリ:ユリ科】平行脈
【クマザサ:イネ科】平行脈
【カキツバタ:アヤメ科】平行脈
❖植物園の花
【ホツツジ:ツツジ科】
【サギソウ:ラン科】
【イワナンテン:ツツジ科】
【キガンピ:ジンチョウゲ科】
陽の光に透ける葉脈は、とても涼しげですね。花の少ないこの時期でも、植物園は楽しめますよ。
植物園 緑地造園係長 太田幹夫