萩(ハギ)、河原撫子(カワラナデシコ)。
❖萩(ハギ)、河原撫子(カワラナデシコ)と聞いて、思いつくのは秋の七種(ななくさ)ではないでしょうか。
でもちょっと待ってください。皆さん、何か気づきませんか。
春の七種はセリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ。
秋の七種はハギ、オバナ、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、アサガオ(キキョウ)。
●どうです。わかりましたか。答えはハギ以外の植物は、すべて草本、つまり草なのです。
ハギも冬になると地上部は枯れてしまい、翌年根元から新芽が伸びて花を咲かせるため、草と言えなくもありません。でも植物分類上は木本、つまり樹木になります。
◆そこでもう一つ、『万葉集』(奈良時代の末期から平安時代の初期に編さんされた歌集)に収められている歌の中に、一番多く詠まれている植物は何だと思いますか。
●今の感覚だと桜・と思いがちですが、実は萩なんです。実に142首に詠まれています。そして2番目は梅の119首です。
◆そして、その萩(ハギ)ですが、まだ初夏なのに植物園で花が咲いていましたので紹介します。
【錦萩(ニシキハギ):マメ科】
◆秋の七種では、他にも河原撫子(カワラナデシコ)、女郎花(オミナエシ)が咲いています。
【河原撫子(カワラナデシコ):ナデシコ科】
【女郎花(オミナエシ):スイカズラ科】
❖植物園さんぽ。
【山百合(ヤマユリ):ユリ科】
【姫百合(ヒメユリ):ユリ科】
【杜若(カキツバタ)の実:アヤメ科】
【唐辛子(トウガラシ):ナス科】
❖「万葉の散歩道」
植物園の「万葉の散歩道」には、『万葉集』に詠まれている植物のうち100種類を歌碑や歌看板と一緒に展示しています。今の季節ですと紫陽花(アジサイ)、山百合(ヤマユリ)、姫百合(ヒメユリ)鶏頭(ケイトウ)、紅花(ベニバナ)などが咲いています。
雨の多い時期ですが、皆さまのご来園をお待ちしております。
植物園緑地造園係長 太田幹夫