植物園長の庭 植物の色(露草色 つゆくさいろ)
2020年06月01日(月)
露草(つゆくさ)色はツユクサの青い花びらの色、あるいはツユクサの花びらで染めた青色を指しています。広辞苑で調べてみると、露草色は「つゆくさで染めた色」と説明されています。
【在来のツユクサ】
万葉集には、「月草(つきくさ)に衣(ころも)色どり摺(す)らめどもうつろう色と言うが苦しさ」(作者不詳)という歌が詠まれています。
月草(つきくさ)はツユクサの昔の名前です。ツユクサの花びらから取った青系色素は水に溶けやすい性質のため、この花で染めた衣が色落ちしやすい様子を、人の心の移ろいに例えて詠んだ歌だそうです。
日本に昔からあるツユクサの花色は青色ですが、外来のツユクサの仲間には、色々な種類があります。
【白い花が咲くノハカタカラクサ(トキワツユクサ)】
私たちが子どもの頃、植物の細胞を顕微鏡で観察する実験に使ったムラサキツユクサにも様々な花色があります。園内で見られるツユクサの仲間の画像も併せてご覧ください。
【ムラサキツユクサ】
ツユクサは可愛らしい花を咲かせる野草ではありますが、雑草化すると除草に苦労する大変厄介な植物です。
植物園長 谷口茂弘