ホオノキの観察
新型コロナウイルス感染拡大防止のため閉園中ですが、園内の植物は季節が来ると花を咲かせます。
早春の小径(こみち)をずっと東に進んでいくと、野原ビオトープの端のあたりにホオノキ(学名:Magnolia obovate Thunb.)があります。
モクレン科の植物で枝先に香りが強い大きな白い花を上向きにつけます。大きな葉が朴葉味噌(ほおばみそ)に使われる植物です。花も葉も大きくサイズ感も魅力に感じます。
01 ホオノキの開花(5月7日)
高いところで上向きにたくさん花をつけるので、その多くは近くに見ることができないのですが、4月の末に低い位置のつぼみを見つけたので、少し追って観察してみました。
02 つぼみ(4月30日)
ホオノキは咲いた1日目に中央にある赤い雌しべの柱頭部をそり返らせ、花粉を受け取れる状態になります。雌の機能をもつ花となり、この時期を雌性期(しせいき)と言います。
03 開花1日目(5月7日)
04 アップ写真 雌性期 (開花1日目)
咲いた花はその日の夜にいったん閉じてしまいます。
05 2日目の朝(AM 8:51)
翌日に再び開くと、今度は上部の雌しべの柱頭は閉じた状態となり、下部の雄しべが張り出し開いてきます。次第に葯が裂開して花粉を出します。この時期を雄性期(ゆうせいき)と言います。
06 開花2日目(5月8日)
07 アップ写真 雌性期 (開花2日目)
08 さらに開く雄しべ
咲いた当日は雌ですが、いったん閉じて翌日は雄になり、性を変えてしまいます。この仕組みを得て、ホオノキは同花受粉せず昆虫に花粉を媒介してもらって次の世代を残しているのですね。
植物園緑地造園係 野村 幸央