オーストラリアに生息する動物たちの豆知識(その3)
今回はカンガルーとともにオーストラリアの国章に描かれているエミューを取り上げます。
ちなみに、オーストラリアの国章にこの2種の動物が取り入れられたのは、どちらも後ろには進まないからだそうです。つまり、決して後退しないという思いが込められています。
エミューは飛べない鳥として知られていますが、飛べないためにその翼は退化して小さくなってしまっています。
下の写真は5月3日に撮影した当園で最も若いエミューですが、翼がどこにあるか分かりますか。
『エミュー』
矢印の先にちょこんとあるのがエミューの翼です。
『エミューの翼の位置』
以前、別のエミューの翼を撮影する機会があったので、その写真を掲載します。
『エミューの翼』
いわゆる手羽先(肘から先の部分)が写っていますが、その長さは13センチで、ニワトリの手羽先と同じくらいです。
エミューはダチョウに続いて世界で2番目に背の高い鳥で、その身長は180センチほどもありますから、それを考慮すると翼の小ささが際立ちます。
さらに写真をよく見ていただくと、先端に爪が1本生えているのが分かります。
その長さは1センチ超。
鳥類の翼には、ヒトの親指、人差指、中指に相当する部分があります(薬指、小指にあたる部分は進化の過程で失われました)が、このうちの人差指にあたる部分の先からこの爪は生えています。
エミューの翼がかなり小さくなった一方で、依然としてこのような目を引くほどの大きさの爪がある理由はよく分かりません。
なお、エミューだけでなく、同じく翼を退化させた走鳥類のダチョウやヒクイドリも翼に爪を有しています。
動物園教育普及等担当主幹 今西 鉄也