天然記念物ミヤコタナゴの人工授精
世界のメダカ館では、日本に生息している希少淡水魚の繁殖に力を入れています。今回は主に関東地方に生息している天然記念物のミヤコタナゴの人工授精をご紹介します。ミヤコタナゴは、本来は淡水二枚貝に卵を産みこみ、ふ化した稚魚は貝の中で育って出てくるのですが、二枚貝の管理はとても難しいので、世界のメダカ館では人工授精して繁殖させています。
まずはメスの採卵です。
お腹が大きなメスの腹部を優しく押すと、長い産卵管から卵が出てきます。
次にオスの採精です。
発情したオスの腹部を優しく押すと、白い液体状の精液が出てきます。卵と精液を混ぜ合わせ授精させます。
卵は20度で管理すると3日後にふ化します。これがふ化したばかりのミヤコタナゴの赤ちゃんです。
なんと目もなければ口もなく、のっぺらぼうの稚魚です。他の魚とはまったく違います。
さらに4日後の稚魚です。発眼が確認できます。でも口はありません。
このようにしてミヤコタナゴなど日本に生息している希少淡水魚たちを繁殖させています。人工授精や実際に二枚貝を使用して繁殖させている種もあります。貴重な日本の淡水魚を皆様にご理解していただければ担当者として幸いです。
動物園飼育第二係 水野 展敏