オーストラリアに生息する動物たちの豆知識(その4)
2020年05月12日(火)
突然ですが、皆さんは、毒ヘビと言ったら何を想像しますか。
キングコブラ、それともガラガラヘビ?
あるいはマムシでしょうか?
それともオーストラリアのタイパン?
オーストラリアは、確認されているヘビのうちコブラ科のヘビが(前述のタイパンもコブラ科に属します)80%ほどを占める毒ヘビ大国です。
シドニー郊外にあるタロンガ動物園では、自国のヘビということで毒ヘビを多数飼育しており、万が一かまれた場合に備え、飼育施設内に抗血清(ヘビ毒を無毒化する薬)専用の冷蔵庫が設置されています。
東山動植物園では毒ヘビは飼育していませんので、オーストラリアでは少数派となっている毒を持たない、ニシキヘビ科に属するミドリニシキヘビを紹介します。
ミドリニシキヘビは樹上であり、かつ夜行性でもあるため、日中はいつも下の写真のように止まり木に巻き付いてじっとしています。
『枝でとぐろを巻くミドリニシキヘビ』
ところが、5月8日に様子を見に行った際には、いつもの止まり木に姿はなく、水の中に入っていました。
『水中にいるミドリニシキヘビ』
飼育係員によれば、水中にいる姿を見られるのは年に2回ほどとのことで、非常にまれな光景です。
写真にも脱皮殻が写っていますが、脱皮の前後に木から降りて水の中に入ることがあるようです。
東山動植物園はまだ繁殖に成功していませんが、ミドリニシキヘビは産卵の際も地面に降りてきます(厳密にいえば、木の洞で産卵することもあると思われます)。
そして産卵後は『どんぶり』を伏せたような形状のとぐろを作って抱卵します。
約50日間にわたって抱き続けた後に、親とは全く色の異なる黄色あるいは赤色の仔ヘビが孵化してきます。
なお、抱卵するのはミドリニシキヘビだけに見られる特徴ではなく、ニシキヘビ科のヘビではよく見られる行動です。
動物園教育普及等担当主幹 今西 鉄也