オーストラリアに生息する動物たちの豆知識(その1)
休園中の話題提供ということで、私からは『名古屋市・シドニー市姉妹都市提携40周年記念企画』として、オーストラリアに生息する動物たちの豆知識を紹介していきます。
最初は、この姉妹都市提携があったからこそ動植物園へ来園したとも言えるコアラから。
4月18日にコアラ舎へ出向いた際に目覚めていた『こまち』です。
「覚醒中のこまち」
コアラは1日の大半(18~20時間)を寝て過ごすので、鈍重なイメージを持たれがちですが、飛ぼうと思えば助走なしで2メートルの樹間をジャンプで移動できますし、走る気になれば時速30キロで地面を駆けることもできます。
そんなコアラの跳躍力と走力を生み出している後肢は少し変わっていて、第1趾(親指)にだけ爪がありません。
さらに第2趾(人差指)と第3趾(中指)がくっ付いています。
この癒着した2本の指は毛づくろいに使っていますが、なぜくっ付いているかは不明です。
また、近縁のウォンバットやフクロモモンガでも後肢の人差指と中指が癒着しており、親指にだけ爪がありません。
「コモンウォンバットの後肢の足裏」
「フクロモモンガの右後肢の足裏」
いわゆる有袋類で後肢に5本の指がある動物は、コアラ、ウォンバット、フクロモモンガに限らず、のきなみ親指の爪を欠いているようです。
ちなみにカンガルーの後肢の親指は退化してありませんが、人差指と中指はコアラなどと同様に癒着しています。
「アカカンガルーの左後肢の足裏(一番太い指が薬指に相当する第4趾です)」
動物園教育普及等担当主幹 今西 鉄也