"タピオカ"ではないタピオカガエル
2019年07月07日(日)
今、巷では"タピオカドリンク"が大人気です。
その人気にあやかるわけではありませんが、自然動物館の両生類コーナーに"マルメタピオカガエル"が飼育展示されているのをご存じでしょうか(多分ごく少数のカエルファンの方以外ご存じないでしょう)。
カエルの名前に「タピオカ」とついているので、流行のタピオカドリンクと何か関係があるのでは?とか、タピオカがカエルの卵に似ているから?と思われる方がいるのではないかと思います。
マルメタピオカガエルは南米のボリビア、パラグアイ、アルゼンチンなどのアンデス山脈の東側に位置する「グランチャコ」というユニークな場所に生息している水生のカエルです。このカエルの名前の由来はタピオカドリンクとはどうやら関係がないようなのです。
マルメタピオカガエルの名前(和名)の命名者は、動物学者で数々の両生爬虫類の和名の命名者で知られる故千石正一さんです。千石さんと親しかった鳥羽水族館のMさんによると、マルメタピオカガエルの名前の由来は、タピオカ・ラカン(羅漢?)という仏像の顔に本種が似ていたから命名したと千石さんから聞いたそうです。千石さんは動物の和名を命名する際、産地やその生息場所が連想さることを大切にしながら付けていたということだそうなので、おそらく南米に存在する仏像ではないかと推測されます。流行りのタピオカドリンクと同じ名前なのは偶然だったのです。
実際のマルメタピオカガエルは目が吐出してずんぐりとした体に大きな口をもつ愛嬌のある顔をしています。南米産のカエルと今流行のドリンクとは何ら関係ないのですが、そんなことを考えながらカエルを観察していただけると、少しだけ楽しくなってくるではないかと思います。
マルメタピオカガエルの全身。水生なので後ろ足が発達して大きなひれを持っています。
正面からみた顔。鼻の穴の下にある点々は、水中の流れなどを感知するための感覚器と思われます。
上からみた顔。普段は水面に目を出していることが多く、上から見ることが出来ます。
飼育第二係 藤谷武史