山吹(ヤマブキ)の話。他。
2019年04月17日(水)
山吹は、古来日本人に愛され、「万葉集」でも17首に詠まれています。
山吹には花弁が5枚のヤマブキと八重咲きのヤエヤマブキがあります。
ヤマブキはおしべ、めしべがあり、実は9月頃に熟します。一方ヤエヤマブキは、おしべは花弁化し、めしべは退化しているため、実をつけません。
江戸城を築いた太田道灌の有名な山吹の逸話に出てくる「七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだに無きぞ悲しき」の歌に詠まれている山吹はヤエヤマブキということになります。
【山吹:ヤマブキ 絵の具やクレヨンにある山吹色は、この花色のイメージ。也有園で見られます。】
【八重山吹:ヤエヤマブキ 「七重八重・・・」の歌に詠まれているのはこちらです。早春の小道で見られます。】
【「蝦(かはづ)鳴く神名火(かむなび)川に影見えて今から咲くらむ山吹の花」 厚見 王(あつみのおおきみ)】
早春の小道には、山吹を詠んだ歌看板があります。
新元号「令和」の発表以来、万葉集が注目されています。万葉集が編纂されたのは、奈良時代末期から平安時代初期ですから、山吹はその時代には山野に生えていたことになります。
❖ 植物豆知識(紹介)
【水木:ミズキ 樹液が多く、春に比較的新しい切り口から樹液が滴り落ちることから水の木、ミズキとなりました。】
【丸葉青椨:マルバアオダモ この時期、白い花が雪をかぶったように美しい。奥池で見られます。】
【白山吹:シロヤマブキ 花弁が4枚。岡山県、広島県、島根県などの石灰岩地帯など、限られた地域に自生しています。也有園で見られます。】
5月1日からは元号が令和になります。ぜひ、植物園「万葉の散歩道」にお立ち寄りください。
植物園緑地造園係長 太田 幹夫