平成から令和へ(星が丘門花便りNo.102)
2019年04月05日(金)
こんにちは。星が丘門公園愛護会です。毎月第1水曜と第3水曜の午前中、植物園の星が丘門周辺で花ボランティアをしています。本日は本年度最初の活動日。草取りのあと、総会を行いました。様々な検討事項のうち、集合時間については、本年度は10時半にしてみようということになりました。花苗を植え替える日も10時半集合です。
さて、新元号は万葉集を出典とした「令和」に決まり、和歌が好きな者としてはうれしい限り。「初春の令月(佳い月)と風の和らぎに梅が白粉のように咲く」という説明の、なんと優雅なこと。これは今年の2月23日(来年からは天皇誕生日)に撮影した白梅の写真です。
〈白粉のように咲く梅〉
古今集から、ここで一首。
ひとはいさ 心も知らず ふるさとは
花ぞ昔の 香ににほひける 紀貫之
一般に花といえば桜をさしますが、この歌では梅。人の心は移ろいやすいが、自然の景物は変わらない...という哲学的な趣があります。
〈桜の回廊はじめの一歩〉
4月とは思えない寒さでしたが、桜の回廊を巡れば、硬い蕾あり、初々しく咲いているものあり、散り始めているものあり...とまるで福袋のよう。
〈ソメイヨシノ〉
次の2首は、「花=桜」の超有名な歌。いずれも古今集から、
ひさかたの 光のどけき 春の日に
静心なく 花の散るらむ 紀友則
爛漫のうちにも散り急ぐ桜の花のはかなさを詠んだものです。そして
花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせしまに 小野小町
小野小町は、世界三大美女の一人といわれる人物。色あせる桜に寄せる、人生の衰えへの哀愁が切ないですね。...などと感傷にふけったのも束の間。おいしそうな桜を見つけました。
〈楊貴妃〉
八重桜にしては早く咲いた「楊貴妃」です。思わず、「おいしそう!」と歓声を上げてしまいました。八重桜を詠んだ一首といえば、詞花集にあるこの歌。
いにしへの 奈良の都の 八重桜
けふ九重に にほひぬるかな 伊勢大輔
昔の奈良の八重桜が、今日は九重の宮中で、ひときわ美しく咲き誇っていることですよ...と訳せます。
今回の4首は、いずれも「小倉百人一首」に撰ばれた秀歌。令和という元号のおかげで、万葉集に関する本が多く出回るでしょう。この機に、植物にまつわる古来の秀歌を学べたらいいですね。
平成31年4月3日 星が丘門公園愛護会会長 濱田淳子
(東山植物園担当:緑地造園係 野村幸央)