メンデルの葡萄(ぶどう) ほか
2019年01月31日(木)
みなさんは高校生の時に、メンデルの法則を習いませんでしたか。 メンデルの法則とは、遺伝によって第一世代に表れる形質が3:1に分かれ、その遺伝情報は1:2:1に引き継がれるというものです。教科書には、鶏のトサカの形やエンドウ豆の種子の色が例としてあったように記憶しています。
東山動植物園には、遺伝学の基礎を築いたヨハン・グレゴール・メンデル(以下「メンデル」という。)が実験に用いた由緒ある葡萄の分株があります。(宿根草園とガーデンテラス東山の間に展示しています。)
1913(大正2)年に、当時の東京帝国大学附属植物園の第二代園長三好 学教授がチェコスロバキア(現:チェコ)のブルノーにメンデルが働いていたケーニング修道院の旧実験場を訪ね、譲り受けました。 その後チェコの実験園の葡萄が枯れたとき、小石川植物園から苗木が里帰りし、それが現地で育っています。 東山植物園では、2010(平成22)年に東京大学附属小石川植物園より大切な分株を譲り受け、由緒ある植物を広く市民に見ていただきたく展示しています。
(写真①) 【こちらがメンデルの葡萄】
「メンデル」・「由緒ある」と聞くだけで、すごい\(◎o◎)/!と思うのは私だけでしょうか。
(写真②) 【実はついているそうですが、私はまだ見たことはありません。】
❖ がんばってる木 その2 ❖ 今回は、合掌造りの家の庭先にある百日紅(サルスベリ)を紹介します。
(写真③)
【ほとんど皮一枚でつながっている感じ。芯(木部)の大部分は欠けています。】
(写真④) 【これだけ太いサルスベリは、かなりの古株と思われます。】
❖ ちょっと解説 ❖
樹木の中心から形成層までの部分を木部といい、主に樹体を支える役割があります。木部はもともと死んだ細胞組織のため、欠けていても幹が折れなければ、生きることができます。一方、木部の外側にある部分を形成層といいます。形成層は生きた細胞組織であり、根から吸い上げられた水を葉に送ったり、樹体を大きく生長させるなど、生きるためには欠かせません。そのため形成層が何らかの原因で機能しなくなると、樹勢は衰え、いずれは枯れてしまうこともあります。
こちらのサルスベリは、木部の大部分は欠けていますが、形成層はしっかりしているため、毎年花を咲かせます。この先も元気に生長してくれるといいですね。(^◇^)
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植物園緑地造園係長 太田 幹夫