ツバキ 苦労が報われました。
❖はじめにツバキについて解説します。
ツバキの仲間は、日本をはじめ東アジア(日本、韓国、台湾)に分布しています。ツバキの栽培は奈良時代にさかのぼると言われいます。その後江戸時代になると園芸が盛んになり、特に5代将軍綱吉の元禄期(1688~1704)をはさむ前後30年の間には、ツバキの園芸品種が数多くつくられました。
❖次にツバキとサザンカの違いについて解説します。
ツバキとサザンカはどちらもツバキ科ツバキ属の植物です。ツバキとサザンカの見分け方は落花の姿であります。ツバキは花弁とおしべが一緒に落ちるの対して、サザンカは花弁がばらばらに散ります。
❖椿園の充実 臺中市に植物交換をお願いしました。
植物園では250種1000株のツバキのコレクションを展示していますが、さらにコレクションの充実を図るため、平成28年に臺中市政府農政局にツバキの植物交換をお願いしました。ところが台湾からツバキを入手するにあたり、ある問題が発生します。それは輸入規制です。台湾では原種のツバキを国外に持ち出す場合、苗での持ち出しは禁止されており、親木から取った穂木の挿し木でなければ許可されないとのことでした。そのため苗を入手するまでに約2年かかりました。
そしてようやく平成30年2月に台湾から苗を入手することができました。入手したのは、タイワンヒメツバキ(尾葉山茶)とタイワンサザンカ(細葉山茶)の2種です。
<平成30年2月> これがその時の苗をポット上げしたものです。
【タイワンサザンカ(細葉山茶)】
【タイワンヒメツバキ(尾葉山茶)】
台湾の気候は日本よりも温暖なため、まずは温室で養生しました。苗は細くて小さかったため、うまく活着するか心配でした。
<平成30年11月> なんと開花しました。
【タイワンサザンカ(細葉山茶)】
【タイワンヒメツバキ(尾葉山茶)】
見てください。こんなに大きくなりました。
現在両苗とも30センチ程度まで生長しています。さらにうれしいことにタイワンサザンカ(細葉山茶)のほうは、早くも小さくてかわいい花をみることができました。
平成30年5月には、東山植物園からも臺中市政府農政局に中京ツバキの挿し木苗2種を送り、植物交流を行いました。中京ツバキも台湾で大きく育ってくれるといいのですが。
東山植物園では、椿園の一角に台湾椿のコーナーを整備しました。こちらの2種も数年先には椿園での展示を予定しています。みなさん、それまでもうしばらくお待ちください。
○お知らせ○
植物園では見ごろの植物の情報を花マップで提供しています。
ご来園の際はぜひご利用ください。
植物園緑地造園係長 太田 幹夫