どっちが正解?
2018年11月15日(木)
植物園に来てまず目にするもの。みなさんは何が思い浮かびますか?
花壇、温室、縄文杉・・・・人それぞれではありますが、今回は樹名板(樹木の名前や特徴を書いたもの)に注目してみたいと思います。
みなさんは何枚か見るうちに何か気づくことはありませんか。白・黒・写真付き、形や色とか・・・・ではなく、あれ?樹木の名前がカタカタだったり、漢字だったりして統一されていないぞ。なぜだ?
では早速、その疑問にお答えしましょう。
ズバリ!決まりはありません。決まっていることは、学名をラテン文字で表記することです。
え?・・・消化不良ですか、それではもう少し解説します。
植物分類学で扱う種の正式な名前は「学名」と呼ばれるもので、ラテン文字で表記されます。
例えば「ハンカチノキ」の学名はDavidia involucrate Baill. (ダビディア インボルクラタ)です。
う~ん、これはとてもオボエラレマセン。そこでカタカナ表記の登場です。
カタカナ表記された標準和名(日本だけで用いられる地方名)は、日本では慣例として学名を補助する言葉としてよく用いられていますが、正式な学名ではないので、ここは注意が必要です。
次に漢字表記ですが、これは「栽培品種」(自然に存在しているものではなく、人が何らかの価値を見出して栽培しているもの)の名称、つまり人為的に進化させてきたものと考えてもらえばわかりやすいと思います。
例えば、「江戸彼岸」「普賢象」と表記した場合は栽培品種としての名前となり、「エドヒガン」「フゲンゾウ」と表記した場合は種としての名前ということになります。
しかしこれらは明確な決まりがあるわけではなく、最近はそのように使い分けることが多いようです。
【もうちょっとわかりやすく解説】
「ソメイヨシノ」はエドヒガンとオオシマザクラの種間雑種を指しますが、「染井吉野」は自然の中に多数ある種間雑種としての「ソメイヨシノ」のひとつを指しています。日本中の「染井吉野」は接木によって増殖された栽培品種です。
❖ 樹名板いろいろ
【梶楓、梶蛙手】
【橙、代々】
どうですか。樹名板もよく観察すると奥が深いでしょ。
東山植物園では、種を重視して基本的にカタカナ表記の樹名板を付けていますが、桜、椿、梅など栽培品種が多い植物は、花や葉の色・形、姿などをイメージしやすい漢字表記の樹名板を付けています。
樹名板もいろいろです。みなさんはどの樹名板がお好みですか。
○お知らせ○
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植物園緑地造園係長 太田 幹夫