水槽の中の小さな怪物「ヒドラ」 ~顕微鏡の世界~
2018年02月12日(月)
ヒドラは淡水に生息しているクラゲやイソギンチャクの仲間で、池沼や田んぼなどの水草や石などに付着しています。体長は1cm程度と小さく、体形は細長い円筒形でやや細くなった一方の端で付着し、他方の端には5~8本の触手が生えていてその中心に口があります。触手には刺胞という毒針がありそれでミジンコなどの小動物を捕らえて餌にしています。ヒドラという名前の由来はギリシャ神話に登場する9つの頭を持つ水蛇「ヒュドラ」です。「ヒュドラ」は頭を切り落とされてもまた新しい頭が生えてくる怪物で、ヒドラも体を切られても完全な形に再生できる能力があることからこの名が付けられました。
本来、メダカ館や家庭の水槽のような人工的水域にはヒドラはいないはずですが、アカムシなどの生き餌や水草などに混じって水槽内に持ち込まれることがあります。メダカ館では稚魚の餌としてアルテミア(甲殻類の仲間)の幼生を与えていますが、ヒドラの餌にもちょうど良いサイズのため、給餌量が多いとヒドラが大発生する場合があります。孵化したばかりの小さな稚魚たちはヒドラの触手に捕らえられ餌となる場合もあるため、ヒドラの発生には十分な注意が必要です。
そんな嫌われ物のヒドラですが、その再生能力や繁殖方法、捕食行動など非常に興味深く面白い生き物です。
動物園飼育第二係 佐藤 正祐