コアラ舎の赤いライオン
2017年07月17日(月)
コアラ舎の出口に赤いシーサー像があります。
シーサーは“招福・徐災”のシンボルとして沖縄で定着している獅子像です。沖縄では生活の一部として、屋根の上、門柱、床の間に飾られるなど大切にされています。
なぜ、シーサー像が東山のコアラ舎に鎮座しているのでしょう。
この像は、沖縄県名護市にユーカリの栽培場があるのがご縁となり、1996年(平成8年)に愛知県の沖縄県人会連合会から寄贈をいただきました。ユーカリは品種の多いことで知られますが、コアラの好むユーカリは温暖な気候でないと育ちません。そのため冬場のコアラの飼料は沖縄から運んでいます。
実は、沖縄にユーカリの栽培場があることで一つ心配事があります。ユーカリは乾燥に強く、成長が早いことで知られますが、背丈の割に幹が細くて弱く、倒れやすい特徴があります。しばしば、台風の通過コースになる沖縄の栽培場は大きな被害を受けることがあります。
現在、全国に4カ所のユーカリ栽培場がありますが、供給先は季節によって変わるため、それぞれが大切なコアラのライフラインです。
このシーサー像は東山にとってコアラの守り神のような存在だと思っています。コアラ舎に来られましたら、そんな職員の思いが込められている“赤いライオン”の存在を少し思い出してもらえたら幸いです。
動物園長 黒邉 雅実