スッポンもコアラもトナカイもついに...
2016年09月15日(木)
IUCN(国際自然保護連合)は6月に続きこの9月にも、絶滅の危機にある世界の野生生物のリスト(レッドリスト)の更新を発表しました。
新聞各紙は「スッポン、コアラ、トナカイが絶滅危惧種になった」「パンダひと安心」といった見出しで、これらを一斉に報じました。
特にコアラは、東山で1位2位を争う人気動物ですので新聞記事を読んで驚かれた方も多かったことでしょう。
ニホンスッポンは、野生のスッポンが食用や養殖用として人に捕獲されていることが理由です。
コアラは異常気象による干ばつなどユーカリ林が減少していることが理由です。
トナカイは季節によって長距離移動することで知られていますが、エネルギー資源を運ぶためにつくられた道路やパイプラインがその移動に影響を与えていることが理由です。
ちなみに東山ではスッポンは北園自然動物館、コアラは本園コアラ舎、トナカイは北園アメリカゾーンで展示しています。
一方で、野生のジャイアントパンダに関してはうれしい知らせです。
中国における密猟の減少や保護区域の拡大により個体数が増えたことから、3段階ある絶滅危惧種の分類のうちで中間だったものが最も低いランクに下がりました。
このように、IUCNによるランク付けは、動物園で当たり前に見ているこれらの展示動物たちが、野生下でどのような状況にあるかや保護の必要性について私たちに教えてくれます。
なお、絶滅危惧種のランキングは最新の科学的な知見に基づいて更新されます。近い将来に、今度は"スッポン、コアラ、トナカイ、もう安心"との見出しで再び報道がなされることを皆さんと一緒に願いたいと思います。
動物園長 黒邉 雅実