ふたごのようなゴリラ
2016年08月15日(月)
夏の風物詩としてすっかり定着しました東山動植物園ナイトZOO&GARDENが終了しました。
夏の強い日差しが避けられ、展示動物のライトアップは、いつもとは違う雰囲気が楽しめるとあって、七回目となる今年も、多くの方にご来園をいただき、ありがとうございました。
私は開催二日目の“朗読ZOOシアター”へ参加しました。動物園と中京TVとのコラボ企画で、昨年に続いて二回目です。
ベテランの佐藤啓アナウンサーとフレッシュな松原朋美アナウンサーのお二人が、絶妙な間合いと息の合った掛け合いで動物絵本を朗読し、その後にテーマとなる動物について職員とトークを繰り広げるといった内容です。
今年は「ふたごのゴリラ」「ライフタイム」という2冊の絵本が選ばれました。ゴリラの絵本の朗読後は東山の子ゴリラ“キヨマサ”と“アニー”のトークで盛り上がりました。
ゴリラの絵本は、彼らの故郷であるアフリカでの実話が元になっています。
通常、ゴリラは一頭ずつ出産するので、双子は珍しいことです。
主人公の双子ゴリラはいつも一緒に過ごしますが、東山の二頭のゴリラも絵本と同じくらい仲良しで遊びも大好きです。
実はサルの世界では、一人で好きに遊ぶよりも、相手がある遊びの方がより高い能力を必要とすると考えられています。二人で仲良く長い時間を遊ぶためには、相手を傷つけないような力の加減や相手の気持ちを汲み取ったりする能力が必要です。
霊長類学の専門家の間では、ゴリラは人間の次に遊びが上手なことで知られます。
言い方をかえれば、人間とゴリラだけが共通祖先から、遊んだり・遊ばせたりする特別な能力を強く引き継いだとも言えますね。
最後に、朗読シアターでも話題になりましたが、まるで双子のようなアニーとキヨマサをどのように区別するのでしょう。
じっくり観察していると、アニーは女の子らしい物腰だったり、キヨマサは男の子らしくガッシリとした体格で母親ネネとの距離が近かったりと見た目や行動に特徴があります。
時間のない方のために期間限定のコツをお教えしましょう。子ども時期のゴリラは白い房毛がお尻に1カ所だけ斑点のように見られますが、その房毛(?)の数がキヨマサは三つに見えます。またアニーの頭の後ろは寝癖のように毛がはねています。皆さんも、東山の子ゴリラの違いを自分の目で観察してみてはいかがですか。
なお、人間の赤ちゃんの蒙古斑(もうこはん)と同じで、戻毛はずっとは見られませんのでお早めにご来園下さい。
動物園長 黒邉 雅実