東海の森を歩く
2016年06月02日(木)
園内の散策コースとして緑が輝きを増すこの時期に東海の森に向かっていただくと、森の日陰が気持ちよくすっきりとした気分になってきます。
このコースの特徴は東海地方に自生する樹林を紹介しながら、その文化にもふれていただけるものです。
今回は、コースの前半に見えてくる「木曽五木」にふれてみます。
木曽地方は古く奈良・平安時代から木材資源の供給地として知られ寺社の多くが木曽のヒノキを利用したといわれています。こうしたことから、江戸期前半に木曽の山が荒れ、徳川幕府の命により尾張徳川家の直轄とし、木曽ヒノキの保護にあたりました。
ヒノキの伐採の禁止の実効性を確実にするため、類似の5種類の樹種を禁令とし、アスナロ、サワラ、ヒノキ、ネズコ、コウヤマキを木曽五木に選定保護、留山としました。
アスナロ 明日はヒノキになろう から名がつく。極端な陰樹。無毛光沢で鱗状の葉で幅が広い。葉裏には広い気孔帯が白く見える。
サワラ ヒノキに比べさわった感じがやわらかで、さわらぎの略。
ヒノキに似るが葉裏の気孔帯がX状に白く見える。
ヒノキ こすりあわせて火を熾したことから。鱗状の葉の裏はY状の気孔帯が白く見える。良質堅牢な高級木材。
ネズコ 心材がねずみ色から。別名クロベ。鱗状の葉は厚みがあり、表は光沢があり、裏は灰白色の気孔帯がうすく見える。
コウヤマキ 短枝につく葉は、束生または輪生する線形で表と裏に縦に窪み。裏の窪みは白色の気孔帯。
コース途中にアジサイ園があり、花の見頃となっています。ここは、日本産のアジサイが見られます。
ちょっとした山歩きに絶好の季節です。是非お越しください。
植物園長 藤井辰則