もっと知りたい重要文化財温室前館〜設備編
2015年08月07日(金)
建築関係の専門用語は、最初に聞いたとき「何それ?」っていうことありますよね。温室関係では「ギルド」もそのひとつ。
ネットで検索してみると、
・ギルド(guild) − 中世から近世の西欧諸都市において商工業者の間で結成された各種の職業別組合(Wikipediaを参考)
これは違います。
それらしいのが出てこないので、英和辞書で「gild」を検索すると、
・金めっきする。(…を)金色に塗る。(Weblio辞書を参考)
これかな?
さらに「gilled」で検索、
・鰓(えら)のついた、(キノコなど)ひだのついた
・gill−(魚の)鰓(えら)〜解剖学用語(Weblio辞書を参考)
えら!?
思いついた単語をつけ足してさらに検索してみると、
・ギルド放熱器ってどんな暖房器具ですか??ネットで検索しても出てきません(Yahoo!知恵袋)
というのが出てきました。ギルドとは放熱器の一種だったのでした。
ギルド放熱器(gilled
radiator)には、中心を通っている温水管の周りに、円盤みたいなものが等間隔に並んで付いています。これで全体の面積が広くなり、温室内を効率的に暖めることができます。
直訳すると“ひだの付いた放熱器”、たしかにキノコの傘の裏にある“ひだ”のようにも見えますね。
温室に暖房設備は欠かせません。これがないと熱帯植物の美しい花や、珍しい形や色をした植物の姿も鑑賞できませんし、冬に暖房できないと植物そのものが枯れてしまいます。
現在、ギルド放熱器は生産されていませんが、歴史のある東山植物園の温室では、昔の製品が今でも活躍しています。保存修理工事中の前館のギルドは、すべて取り外して倉庫内に保管していますが、オープンしている後館では見ることができますよ。
温室後館の植物を楽しみながら、ギルド放熱器がどこにあるのか探してみてはいかがでしょうか。
再生整備課 堀 透