もっと知りたい重要文化財温室前館〜ガラス編
2015年04月25日(土)
昭和11年に建築され、現在、保存修理工事中の植物園の重要文化財温室前館は、すべてのガラスが取り外され、鉄骨だけの状態になっています。
取り外したガラスの総数は約1600枚。これらは、昭和40年に温室の屋根を大改修した時のもので、現在一般的に使われている板ガラス(フロートガラス)です。
ところで、保存修理工事に着工する前、植物を植え込んでいた中央ヤシ室の岩組を取り外したときに、隙間の土の中から、タイル片などに混じって、数多くのガラス片が出てきました。
建築当初のものとみられます。
戦争中の昭和20年に投下された爆弾の爆風で割れたものか、昭和34年の伊勢湾台風で割れたものか判りませんが、何らかの理由で土に混じり込んだようです。
で、このガラスを光に当てると、
あれ?何やら紋様が・・・。よくみると、
やっぱりシマシマの影が映っています。
実はこのガラス、「フルコールガラス」といい、昭和初期に開発された製造方法により、昭和30年代終わりごろまで、工場で大量生産されたガラスなんだとか。
製造ラインの中で、何本ものロールでガラスを挟んで送り出すときに微妙な凸凹ができ、こんな影が映るそうです。
現在の製法では、このような影は出てきません。みなさんのご自宅のガラスの影と比較してみては?
今では使われていないフルコールガラス、一つのガラス片にも歴史あり、ですね。
再生整備課
堀 透