気がつけば外来種がいる
2014年07月19日(土)
私はザリガニ釣りを大人になってからやりました。というのは子供の頃にアメリカザリガニで遊んだことがなかったので、一度やってみたかったからです。しかも遊ぶどころか見た記憶もありませんでした。
改めて調べてみると、アメリカザリガニは食用に養殖していたウシガエルのエサとして、1920年代に輸入されて、神奈川県で逃げ出して野外で増えて全国に広がり、1960年には九州に到達したとされています。
しかし、日本列島を東西だけでなく南北に広がるのにも時間がかかることや私の故郷はリアス式海岸の田舎で、周囲を山に囲まれて水系も限定されているため、アメリカザリガニが到達するのには相当時間がかかったと思われます。ですから私が小学生の頃にはまだ故郷にアメリカザリガニはいなかったと勝手な推測をしています。
今ではウシガエルもアメリカザリガニも日本全国に普通に存在していますが、在来種に影響を及ぼしていることから外来種に指定されています。例えばウシガエルは何でも食べるので、在来のカエルが少なくなった地域があったり、日本のサンショウウオが繁殖している池ではアメリカザリガニに卵を食べられるといった害が生じています。
しかし、アメリカザリガニは学校の授業での教材やペットとして飼育されたりして、とても身近な存在になっています。でも外来種であることをしっかり認識する必要があります。
日本は野生生物の消費大国と言われています。これはたくさんの野生生物が日本に入ってきているということです。ですから日本は外来種だらけになる可能性がとても高い国なのです。
世界のメダカ館ではアメリカザリガニを、自然動物館ではウシガエルを展示しています。両種を見た時は日本に入ってきた経緯や現状をちょっと思い出していただき、外来種問題についても考えてもらえればと思います。
動物園長 橋川 央