ずいぶん進歩
2014年02月25日(火)
動物園の動物で採血やネイルケアを行うときは、今まではほとんどが麻酔か網で伏せて保定した状態でおこなってきました。
ところが最近は、無麻酔で格子越しに行える方法に進歩しています。
何年か前に、格子に特別に作った箇所にオランウータンに腕を入れさせて、人と同じように採血することが海外の雑誌で紹介されたのを見て凄い!と思いました。その後、サイやキリンの蹄の手入れ、また国内でも最近ホッキョクグマの指から採血を行うことが報告されました。
この方法は特別な薬や装置を使うのではなく、日常の訓練だけでおこなうもので、ハズバンダリートレーニングと呼ばれます。東山でもゾウでは採血や蹄の手入れが行えるようになってきましたが、類人猿や猛獣ではまだ実施していません。
近い将来にゴリラの健康診断では、「はい、シャバー二君、腕を出して。力を抜いて。」とか、「キヨマサ君、腕を出したらじっとして。」と言って、採血できるようになるかも知れません。
動物園では野生動物に芸をさせることは今ではありませんが、動物に不快な思いをさせずに、こういった処置を行えるような訓練をしています。なかなか機会は少ないですが、運が良ければ見られることもありますよ。
動物園長 橋川 央