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明日の「チンパンジーの赤ちゃん命名式」にちなんで

2011年10月15日(土)

明日は「チンパンジーの赤ちゃん命名式」ですね。

さて、どんな名前になるのでしょう?
候補を見ると、東日本大震災の後だけに、夢や希望といったテーマの名前が多いですね。

「チンパンジーの赤ちゃんの命名式」開催にちなんで、ちょっと東山の歴史を振り返ってみましょう。

当園のホームページに掲載されている物語「生きのびた象」のこのフレーズ
「この惨禍を生きのびた動物は痩せ衰えたゾウ2頭、チンパンジー1頭、カンムリヅル2羽、カモ20羽、ハクチョウ1羽だけであった。」
戦争を生きのびたゾウ「マカニ−」と「エルド」の話はよくききますが、このチンパンジー1頭とは何者?と前から少し気にはなっていました。

「東山動物園50年の歩み」のほうを見ると「バンブー」と名前が書いてあります。昭和28年に発行された冊子には写真つきで紹介されています。


「バンブー」君


この「バンブー」君は、日本でたった1頭の戦争を生きのびたチンパンジーといわれています。ところが、昭和18年5月1日に発行された冊子に掲載されている収容動物一覧にはチンパンジーを示す「黒猩々」の文字がありません。いったいこの「バンブー」君はどこからやってきたのでしょうか?

その答えは西宮市にあった阪神パークの動物園です。この動物園は、昭和18年4月という早い段階で戦争による閉園においこまれてしまいました。この動物園の不幸は、水上機を生産する軍需工場に隣接していたことによります。水上機とは水面上で離発着できるので滑走路がいらない航空機のことですが、大きな浮きをつけているので性能は普通の航空機に劣ります。戦況の悪化によりこの工場で戦闘機を生産する計画が持ち上がり、滑走路用地として阪神パークは軍に接収されてしまいました。目的が滑走路建設だったため、当時の建物は一切残っていないそうです。

かなり早い段階の閉園だったため、ここにいた動物たちは他園にひきとられました。インドゾウ「カニヤニー号」(「共栄(ともえ)号」と改名)は京都市紀念動物園にひきとられ、戦争を生きのびましたが、昭和21年1月31日に死亡しました。余談ですが、この「共栄号」と東山の「マカニ−」と「エルド」が日本でたった3頭の戦争を生きのびた象です。

チンパンジー1頭は東山動物園にひきとられました。当時の新聞記事を見ると、自転車に乗っている写真とともに「バンプ」君こと「正二」君(4才)と紹介されています。

東山動物園にはかつて自転車に乗るオランウータン「正吉」君がいました。


「正吉」君(動物園が鶴舞公園にあったときの写真)


「正二」の名はこの「正吉」の後継者ということでしょうか。敵国の言語を使わないという当時の風潮もあって、おそらく東山でつけられた名前だと思います。

「バンブー」(もしくは「バンプ」)の名は、「バンブー」君がアフリカにいたときから現地の人にこう呼ばれていたといわれています。(一説には、名前を呼んでいたのではなく、原住民の言葉で「おいで」って言っていただけだとか。)
「バンブー」君はアフリカからドイツ船に乗りドイツに行く予定でした。ところが、ドイツとイギリス・フランスが開戦し、この船がドイツに帰れなくなったため、日本にやってきました。

戦後、芸達者な「バンブー」君が見せるショーは、子どもたちに笑顔を与えてくれました。

あるときは絵を描き、あるときは日の丸片手に自転車を乗り回す。


画家風な「バンブー」君


湯呑みで飲み物を飲む「バンブー」君


そんな「バンブー」とともに昭和20年代、東山動物園の復興も一気にすすみました。その成長の様はまさに竹(英語でバンブー)のように。

さて、明日の命名式。どんな名前がつくのか楽しみですね。


再生整備課再生整備係  西尾 健司

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