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動物のお見合い

2010年09月17日(金)

動物園では毎年、新しい仲間がやってきます。
群れで暮らす動物は、群れに入れるのですが、これがなかなか大変です。

人間の場合ですと、例えば、転校生は新しいクラスの仲間にあいさつをすれば、その日から仲間に入ることができます。それは言葉で気持ちを正確に伝えることができることと、少々気にいらない相手であっても喧嘩をせずに我慢をするという理性があるからです。

動物も鳴き声や特別な行動で気持ちを伝えることをしますが、人間の言葉ほど意思疎通はできません。
今年も何種類かの新人さんがやってきました。
新人さんが仲間入りするにはお見合いから始まります。
人間のお見合いと違うところは、相手が気に入らないからといって一緒になるのを断わることができないことです。

まずは、ニホンザル舎に飛び込んできた野生のニホンザルの「ムコドノ」。

しばらくは動物病院で体力回復のため一人暮らしをしていましたが、ニホンザルのメスの群れの中に入れることにしました。直接群れの中に入れると先住のメス軍団に攻撃をされてしまいます。動物園のような閉鎖空間では、時には殺されてしまうこともあります。
動物は先に住み着いている方が圧倒的に強いのです。そこで、まず、初めから一緒にするのでなく、ムコドノは寝室に入れ運動場にいるメス軍団と柵越しにお見合いをさせることにしました。寝室はムコドノの縄張りです。

そうすると、メスの群れのなかから、寝室にいるムコドノにあいさつに来るサルが徐々に増えてきました。こうなれば集団での攻撃は回避できます。そこで、柵を外しました。今ではムコドノもメスのいる運動場に出ることができるようになりました。
今日は、電信柱の上でNO2のメスとグルーミングをしていました。この秋の発情期からオスとして群れを仕切ってもらうことを期待しています。


右がムコドノ 左が仲良しになったメス


運動場にでたムコドノ(右手の橋の下のサル)


他にも先日、新たなチンパンジーのメス2頭が類人猿舎にやってきました。東山動物園には繁殖可能なメスがいなかったため、繁殖のための導入です。

新しいチンパンジーも仲間に入れるためには、しばらくお見合いが必要です。チンパンジーは、ニホンザルと違い個体管理が行われているため、それぞれの個性と言うか、性格がかなり把握されています。そのため、誰と誰を見合いさせるのが良いのか検討した上で見合いを進めています。

こちらの読みが当たったのか、今のところ見合いは順調に進んでいます。近い内には新人チンパンジーも群れの仲間に入ることができると思います。


ワンパーク高知からやってきたアキコ


熊本県のチンパンジーサンクチュアリからやってきたカズミ


上記の2例は順調な事例ですが、3年前にやってきたオスゴリラのシャバーニと先住のゴリラ、こちらはうまくいかず、今もシャバーニとネネ、オキとアイの2グループに分れたままです。


長老のオキとアイのグループ(昔の写真です)



アイの母親のネネとシャバーニのグループ


群れで暮らす動物は、苦労もなく新たな群れに入ることができると思われがちですが、動物にも我々飼育する側にも隠れた苦労があります。

動物園では新規参入者のエサと住まいは、私たちが保証しています。先住の動物のエサや住まいが奪われるわけではありません。できれば、動物たちには新規参入者と仲良くやってもらいと願っています。


動物園長  小林 弘志

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