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ありがとうチロル

2010年07月20日(火)

トコトコと地上を歩きまわり、隣部屋との仕切り板で立ち上がっては前足をガリガリする、愛らしい姿で人気者だったコアラのチロルの生涯は、わずか3年という短さで幕を閉じてしまいました。死因については現在調査中ですが、コアラにとって不治の病である白血病の疑いがあります。
チロルは、母親のミルクの分泌が悪く成育不良だったため、生後9ヶ月頃から担当者に育てられたコアラでした。そのため人懐っこく、子供向けのヒーロー番組に大役で出演したこともある、私にとっても大変思い入れの深いコアラでした。


生後9か月


今年の1月に死亡したフォレスト最後の子で、フォレストの血を日本に広めるという使命を担ってもいました。今年の4月から本格的にメスとのペアリング(お見合い)を始めていましたが、体つきは立派になっても精神面はまだまだ幼かったようで、メスに対してあまり興味を示していませんでした。今になって思えば、繰り返されるペアリングがチロルの心に暗い翳を落としてしまったのかもしれません。
5月末頃から少しずつ食欲の減少がみられたため、好物のユーカリを中心にメニューを組み、胃腸薬の投与も行いながら様子をみていました。しかし、回復の兆しはみられず、治療室へ移動させたのですが、移動後からはほとんどユーカリを口にしなくなってしまいました。そのため、ミルクを飲ませ、補液(人間で言う点滴のようなもの)を行いながら回復を願ってきたのですが、7月17日19時38分帰らぬコアラとなってしまいました。幼き時に衰弱死の危機を乗り越え、さあこれから、といった時に命の灯が消えてしまったのは残念でなりませんが、チロルは私たちに様々なことを教え、また残してくれました。
今までチロルを可愛がってくださり本当にありがとうございました。


ありがとう、チロル


動物園飼育第一係  伊東 英樹

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