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けがをした動物に出会ったら

2010年07月03日(土)

私たちの周りには犬や猫などのペットの他に、鳥やタヌキなどの野生動物が暮らしており、私たちの生活に潤いを与えてくれています。まだ、名古屋市内にも野生動物が暮らせる自然が残っています。

これらの動物も元気に暮らしている内は問題ないのですが、車にはねられたり、赤ちゃんが親からはぐれたり、ヒナが巣から落ちたりして、道端で皆さんの目に触れることがあります。

あなたなら、こんな動物に出会ったらどうしますか。

かわいそうだから助けてあげようと心が動くでしょう。でも、自分では面倒を見られないから、どこかに連絡しようと思うのが普通でしょう。

さて、どこへ連絡したらいいのでしょうか。

まず、犬や猫はわかりますね。保健所です。保健所へ電話すれば動物愛護センターが収容・保護のため来てくれます。そして、飼い主を探してくれます。犬は狂犬病の予防注射の義務があり、首輪に鑑札を付けることになっており飼い主がすぐにわかります。犬猫以外のペット(ウサギ、飼い鳩等)についても、ある程度は保健所が相談に乗ってくれます。

野生動物はどうでしょう。
例えば、タヌキがけがで動けなくなっています。保健所はペットを対応をする部署、野生動物は緑政土木局の農業技術課です。ややこしいですね。農業技術課へ電話すると、次のような答えが返ってくるでしょう。
「けがの応急手当てをしてくれる開業獣医さんを教えますので連れて行ってください。治療費はあなたが負担することになるかもしれません。なおかつ、応急手当の後は元気になるまで、拾ったあなたが面倒をみることになります。元気になったら放してあげてください。けがが治らず飼い続けるのなら、愛知県に相談して飼養許可を受けてください。」
タヌキなどの哺乳類はけがをしていても、このようなかなり厳しい答えが返ってきます。役所には保護する施設がないのです。ただ、カモシカなどの天然記念物に該当するような希少動物については、動物園が預かることがあります。

次に鳥類はどうでしょう。ツバメがけがをして落ちています。さてどこへ連絡しましょう。
これも保健所へ相談してください。保健所では鳥もタヌキの時と同じく開業獣医を教えてくれるでしょう。ただ、愛知県に弥富野鳥園があり、けがをした鳥を持ち込むなら受け入れてくれます。哺乳類より鳥類は受け入れ施設があるだけ、まだ恵まれています。
休園日もありますので、持ち込む前に弥富野鳥園に相談してください。

次に、同じ鳥類でも巣から落ちたヒナを見つけたらどうしましょう。親鳥がいるならそのまま様子を見ましょう。親鳥が助けに来ます。巣が近くにあるのなら巣に戻してください。助けようとヒナを拾って持ち帰らないでください。ヒナを大人になるまで育てたとしても、エサのとり方をしっかり練習させなければ、野生下で生きて行くことができません。野生復帰の練習は経費と手間が大変です。そのため、ヒナは弥富野鳥園を初め公的機関で引き取ることはしていません。

もっと厳しい対応を受けるのは、アライグマ、カミツキガメ等の特定外来動物です。特定外来動物は日本古来の動物の生存に悪影響があることから、駆除の対象になっている動物です。けがを治して野に放すことは法律で禁止されています。外来動物は同じ動物でも保健所の担当ではありません。環境省の中部地方環境事務所にご相談下さい。

このように動物の救護は、いろいろな行政機関が関わっています。
いろいろな行政機関が関わっているためか、名古屋市も救護体制が十分とはいえません。生物多様性の保全が叫ばれ、COP10が開催さる名古屋がこんな救護体制で良いのかとおしかりを受けそうです。しかし、生物多様性の保全は、けがをした個々の動物を守ることも大事ですが、それ以上に動物を種という集団で保全することの方が大事です。

東山動物園では、展示動物を見て楽しんでもらうだけでなく、野生動物の保全について皆さんと一緒に考える取り組みを進めてまいります。


動物園長  小林 弘志

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