新年明けましておめでとうございます!
2010年01月01日(金)
明けましておめでとうございます。
みなさまがこの一年を健やかに過ごされますように、ご健康とご活躍をお祈り申し上げます。
さて、今年2010年は国際生物多様性年です。
秋には、愛知・名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(通称:COP10)が開催されます。「一年の計は元旦にあり」といいますので、生物多様性について少し…。
生物多様性とは、さまざまな生き物がお互いにかかわりあって、人間と自然がバランスよく暮らしていくことです。
私たちの衣食住の文化も、生物多様性によって支えられてきましたし、これからもそうでしょう。
たとえば日本には昔から正月七日に菜を摘み取って七草粥にして食べる風習があります。
平安時代の宮中行事に由来して始まったといわれるこの行事は、14世紀には、せり(セリ)、なずな(ナズナ)、ごぎょう(ハハコグサ)、はこべら(ハコベ)、ほとけのざ(コオニタビラコ)、すずな(カブ)、すずしろ(ダイコン)という現在の七種が定まっていたそうです。
今のように一年を通して新鮮な野菜や果物が手に入る時代とは違い、昔の人にとって、緑の乏しい早春にみずみずしい若菜は、栄養が豊富で見た目にも楽しませてくれるご馳走だったのでしょう。
しかし、近年、名古屋市内ではセリやコオニタビラコを見つけにくくなりました。外来種の侵入や田畑が宅地開発など、減少の原因はさまざまですが、このままではいつか「春の六草」や「春の五草」になってしまうかもしれません。
これらの植物や七草粥という文化を、未来までずっと引き継ごうという活動も生物多様性を保全する取り組みの一つです。
植物園では、1月2日から春の七草の鉢植えを「合掌造りの家」の前で、展示します。
春の七草がどんな姿をしているかじっくり観察して、それから家の近所で同じ植物を見つけることができるか、探してみてください。たとえばハハコグサは、葉の表面が白い毛で覆われているのが特徴です。
植物園は、みなさまが楽しみながら植物を知り、生物多様性の保全を考えるきっかけの場になりたいと思っています。
本年もどうぞよろしくお願いします。
植物園長
舟橋 和時