ニホンザルのジャンプ力 〜中編〜
2009年11月26日(木)
長らくお待たせしました。11月16日掲載の「前編」の続きの話です。
先回は、ニホンザルが引越をするところまでお話をしました。
今回は、引っ越した後から逃走までの経緯をお話したいと思います。
新しい獣舎に到着後、1頭ずつ運動場に放しました。
前の運動場とガラリと変わったこともあり、どのサルも興奮状態で勢いよく運動場に飛び出して行きました。
最初は警戒心からかどのサルも草むらの中に隠れていました。
この日、テレビ局の取材も入っており、「樹上で暮らすニホンザル」の姿が撮影できるといいなと願っていると、2頭のサルが鉄塔に、1頭のサルが擬木に上り始めました。
思わず拍手が起こりました。
鉄塔に登ったサルは外の景色を眺めていました。
鉄塔、擬木とも周りの壁より高い部分があり、周りに広がる森が良く見えるのです。
周りに生れ故郷に似た森が見えたためなのか、突然2頭のサルが壁の外にある樹木に向かいジャンプしました。
ヒヤッとしましたが、壁の途中にぶつかり地面に落下しました。
怪我はないかと心配していると2度目の挑戦をするではないですか。
またまた、落下しました。
今度は怪我ではなく脱走しないかとヒヤッとさせられました。
これであきらめてくれればよいのに、今度は鉄塔から擬木に移り、違う方向の壁に1頭がジャンプしました。
届くなよと願った瞬間、わずかに手が壁の先端にかかったと思ったら、あっという間に森に向かい走り去ってしまいました。
このジャンプする姿はテレビ局のカメラで撮影されており、ムササビのように手足を広げて滑空している姿でした。
後からテレビの映像を見ましたが、計り知れないニホンザルの能力に打ち負かされました。
少々長くなってしまいました。
本日はここまでとさせていただきます。
次回が最後となります。楽しみにしていてください。
動物園長 小林 弘志