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桔梗(キキョウ)。

2020年07月20日(月)

皆さんは桔梗(キキョウ)を知っていますか。
あまり目立つ花ではないため、なんとなく知ってるくらいかもしれませんね。
桔梗はキキョウ科の多年草で古くから日本に自生してる植物です。万葉集にも多く詠まれ、秋の七草にある朝顔は、桔梗だといわれています。
ちょっと余談ですが今年の大河ドラマの主役は明智光秀ですが、その明智家の家紋は桔梗紋です。

★ところでその桔梗ですが、受粉の際には自分の花粉で受紛しないように、とても巧妙な策を講じているのをご存じですか。

植物にとって自分の花粉を自分の雌しべにつけて子孫を残すことは、遺伝子の多様性からすると望ましくありません。そこで一つの花の中に雄しべと雌しべのある植物の多くは、自分の花粉が自分の雌しべにつかない仕組みになっています。
その代表的なものに「雌雄異熟(しゆういじゅく)」があります。すなわち、一つの花の中にある雄しべと雌しべの熟する時期をずらして、同じ花の中では受粉、受精がおこらないようにしています。
雌しべが先に成熟し、雄しべが花粉を出すころには雌しべが萎れてしまうタイプ(雌性先熟)と、逆に雄しべが先に成熟し、雌しべが成熟するころには花粉が無いタイプ(雄性先熟)があります。

桔梗は花が咲いたときには雄しべも雌しべも成熟していません。やがて雄しべが先に成熟して、花粉を放出します。そして雌しべが成熟して受粉可能な状態になったときには、雄しべには花粉が無くなっています。(雄性先熟は、他はキク、ヤツデ、ホタルブクロなどがあります。)
これとは逆に、モクレンの雌しべは、雄しべよりも先に成熟し、雄しべが花粉を放出するころには萎れてしまっています。(雌性先熟は、他にはシバ、イチゴ、サツマイモ、オオバコなどがあります。)

★それではキキョウの花の様子を観察してみましょう。

【つぼみ:今にもはち切れそうです。】

写真①.jpg


【開花初期:まだ雄しべも雌しべも成熟していません。】

写真②.jpg


【雄しべが先に成熟しています。】

写真③.jpg


【雄しべが萎れたころ、雌しべが遅れて成熟します。】

写真④.jpg

【雄しべ、雌しべとも萎れてしまいました。】

写真⑤.jpg


植物にとって確実に多くの子孫を残すためには、自分の花粉で受精するほうが効率的です。そして実際、その方法で子孫を残している種も数多くあります。しかし一方で遺伝子の多様性は犠牲にしていると言えます。異常気象や病害虫の蔓延など、何らかの外的要因に変化が生じた場合には、一気に全滅してしまうリスクをはらんでいます。

★ではどちらの繁殖方法が優れているか。
植物が子孫を残すうえで、遺伝子の多様性を取るか、効率や確実性を取るか。いくら遺伝子の多様性を優先しても受粉できなければ元も子もありません。一方異常気象や病害虫の蔓延も心配です。どちらも一長一短あり、どちらが優れているのかは、本当のところわかっていません。

植物園 緑地造園係長 太田幹夫

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