植物も汗をかきます。(それもかなりの汗っかきです。)
2020年07月02日(木)
皆さんは日差しが強く夏の暑い日に、木陰に入ると涼しいと感じることはありませんか。
これは植物の葉にあるたくさんの小さな穴(気孔)から、水分を蒸散させているからなんです。
❖では、なぜ植物は葉から水分を蒸散させるのでしょうか。
実は植物にも人と同じように体温があります。植物の体温は葉の温度である「葉温」で表わすことが多いようです。植物は日差しの強い昼間に光合成をするため、多くの太陽光を吸収しようとして葉を大きく広げています。そのため熱もかなり吸収し、葉温が気温を超えることも多くあります。
植物が行う光合成には多くの酵素が働いていますが、酵素はタンパク質のため熱に弱く、温度が高くなりすぎると変性して機能しなくなってしまいます。そこで植物は葉温が高くなりそうになると、必死に葉温を下げようとします。そこで気孔から水分を蒸散させ、気化熱(注1)で葉温を下げています。
人も暑い日には汗をかいて体温調節をします。植物の蒸散も汗と同じ原理です。
(注1)気化熱とは液体の物質が気体になるときに周囲から吸収する熱のことです。
❖植物園さんぽ。
【磯の木(イソノキ):クロウメモドキ科】
【柿蘭(カキラン):ラン科】
【唐藤空木(トウフジウツギ):ゴマノハフサ科】
【合歓の木(ネムノキ):マメ科】
夏の暑い日に木陰に入るとほっと一息着けますね。蒸散は植物の生理現象ですが、人や環境にも少なからず恩恵を与えてくれます。
これから夏本番です。皆さん、植物園はけっこう手ごろな避暑地ですよ。
植物園 緑地造園係長 太田幹夫