名古屋で貴重なヒキガエル
2020年06月16日(火)
自然動物館に展示されているアズマヒキガエルは、日本の固有種ですが、名古屋市内では実は絶滅危惧種に指定されています。今年の3月に名古屋市環境局で発表された「名古屋市版レッドリスト2020」によると、絶滅危惧度の一番高い「絶滅危惧ⅠA類」にランク付けされました。
ヒキガエルといえば、雨降りの時などに路上に出てきて歩いているポピュラーなイメージがありますが、現代では非常に生息数を減らしている種になります。名古屋市内でも激減していることが報告されていることから、絶滅危惧度が最高ランクに位置づけされました。東山動植物園の園内でも野生個体の数が減りつつも生息しています。
この地方のアズマヒキガエルの産卵期は3月くらいが一般的で、世界のメダカ館横のビオトープ内で卵も観察することが出来ます。ごく普通の種類であったカエルの仲間が減ってしまうのはとても悲しいですし、最終的には我々の生きていく環境にも何らかの影響があるかもしれません。
動物園で展示されているアズマヒキガエルを観て頂いて、アズマヒキガエルが絶えてしまわぬよう自然環境に関心を持ってもらえると嬉しいです。
園内で見られたアズマヒキガエルのオス。産卵期なため、体ぶよぶよしています。
園内で観察されたアズマヒキガエルの卵塊。名古屋市内でも産卵期になると湿地などで普通に見られましたが、近年は観察しにくくなってきています。
動物園飼育第二係 藤谷 武史