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どこが違うの?教えて/寄生・着生・腐生。

2020年05月14日(木)

 コロナウイルス感染拡大防止のため、現在東山動植物園を閉園させていただいております。皆様には大変ご不便をお掛けしております。

❖寄生植物・着生植物・腐生植物 
 どれもよく似ていますが、皆さんは区別できますか。
 今回はそれらの簡単な説明と事例を紹介します。

◆最初は寄生植物から。
 最初に皆さんが一番イメージしやすいと思われる寄生植物から説明します。
 寄生植物とは、寄生虫をイメージしてもらえれば、そのまま当てはまります。宿主(寄主)となる植物の幹や枝、根に自分の根を食い込ませて、宿主となった植物が光合成などで稼いだ栄養分を吸収(横取り)している時、その植物を寄生植物と呼びます。
 例としてススキの根に寄生するナンバンギセルがあります。
 ナンバンギセルは、葉緑素を持っていないため、光合成を行いません。皆さんのよく知っている世界最大(直径)の花を咲かせるラフレシアも寄生植物です。

【南蛮煙管(ナンバンギセル):ハマウツボ科】

写真①.jpg


◆また寄生しながら、自らも光合成により栄養分を生産しているものを半寄生植物と呼びます。
 例としてヤドリギがあります。ヤドリギは葉緑素を持ち、光合成も行っています。

【檜葉寄生木(ヒノキバヤドリギ):ビャクダン科】

写真②.jpg

◆次は着生植物です。
 着生植物とは、地面に生えるのではなく、岩、壁、木の幹・枝など、とにかく何かにくっついて生えている時、その植物を着生植物と呼びます。着生植物は、着生している相手から栄養分を吸い取っているわけではなく、単に足場として利用しているだけです。
 例として着生ランがあります。

【蘭(ラン):ラン科】

写真③.jpg


◆最後は腐生植物です。
 腐生植物(最近は菌従属栄養植物と呼んでいます。)とは、葉緑素を持たず、根に菌根菌を持ち、菌が腐植などを分解して得た栄養分を吸収している時、その植物を腐生植物(菌従属栄養植物)と呼びます。
 例としてギンリョウソウやホンゴウソウがあります。

【本郷草(ホンゴウソウ):ホンゴウソウ科】

写真④.jpg


 ラン菌に代表されるような菌根菌は、菌根を持った植物に取り付くと、菌根菌は特殊な構造を持つ菌根に操られて、枝葉などを分解してできた栄養分を吸い取られてしまいます。

◆ここで一つ疑問...... ランはラン菌に寄生しているから寄生植物じゃないの?
 いいえ着生植物です。一般にランは光合成によって自活しており、ラン菌への依存の割合は部分的です。そのため寄生植物とまではいえません。実際にランは光合成ができる環境であれば、ラン菌がいなくても生きていけます。

❖ここで一休み。見ごろの花を紹介します。

【杜若(カキツバタ):アヤメ科】

写真⑤.jpg

【薔薇(バラ):バラ科】

写真⑥.jpg


【朴の木(ホオノキ):モクレン科】

写真⑦.jpg


○朴の木の花は高いところに上向きに咲くため、なかなか見ることができません。

【立浪草(タツナミソウ):シソ科】

写真⑧.jpg


◆皆さんお分かりいただけましたか。
 着生植物は陽の光を求めて、洪水で水没しないために上へ上へと手堅くも攻めの戦略。寄生植物や腐生植物は他人の稼ぎを当てにして、淡々と任務を遂行し、支配していく隠密の戦略でしょうか。
 これらの戦略は一見すると生きるうえで、かなり有利なように思えます。でも実際はどうなんでしょう。移動ができない植物にとって、一番重要となるのは発芽する場所が幸運であること。そのうえで他の植物とせめぎ合い、生存競争に勝って生きて残るには、さらなる幸運をつかまなくてはなりません。


植物園緑地造園係長  太田 幹夫

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