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オーストラリアに生息する動物たちの豆知識(その6)

2020年05月30日(土)

プレオープンを終え、いよいよ開園ということで、このオーストラリアに生息する動物たちの豆知識シリーズは今回が最終回となります。

脊椎動物のうちまだ紹介していない魚類にスポットを当てたいところですが、残念なことに東山動植物園が収集しているメダカの仲間やカダヤシの仲間については1種もオーストラリアに自然分布はしていない(外来種として侵入している地域はあります)ので、取り上げることのできる種がそもそもいません。
ですので、最後もコアラの話題で締めることとします。

5月23日に昼下がりにコアラ舎へ行き、オス2頭の様子を見てきました。
その際のタイチとコアラの写真です。

コアラのタイチ.jpg『コアラのタイチ』

コアラのイシン.jpg

『コアラのイシン』

これらの写真を撮るほんの少し前、ユーカリの取り換えが終わってしばらくした頃にオスの2頭が張り合うかのように鳴いていたと飼育係員から聞きました
そこで、ブログでコアラのオスが鳴く姿を紹介しようとビデオカメラを手にしばらく待ち構えていましたが、結局声を聞くことはできなかったので、ここでは以前録画したイシンの映像をご紹介します。


『コアラの鳴き声』

コアラはその見た目とは違って、可愛さとはおよそ無縁の鳴き声を発することをご存知でしたか。
コアラの鳴き声に可愛さを感じられないのは、その声が予想外に低いことも要因の一つかと思われます。
哺乳類の場合、どれくらい低い鳴き声を出せるかは、その動物が持つ声帯のサイズによって決まります。
声帯は空気の通り道である気管の最上部にあり、肺から出された空気が通過する際に振動することで音を発します。
したがって気管が太くなると声帯のサイズは大きくなります。

一般に体が大きくなるほど気管は太くなるので、ゾウは低い声を出すことができますが、体の小さいネズミは高い声でしか鳴けません。
しかし、コアラはその体重から予想できるよりもずっと低い声を出しています。
イギリスの科学者が調査したところ、コアラの体重は10キロ弱にもかかわらず、ゾウ(体重約2~6トン)が出すような低い音を出していることがわかりました。

音は周波数が小さいほど低くなりますが、ヒトの声の周波数が概ね100~1000Hzの間であるの対して、その調査によれば、コアラの鳴き声の平均周波数は27.1 Hzで、範囲は9.8~61.5 Hzでした。
ゾウの鳴き声の周波数が5~470Hz(ただし、もっと高音域、最高で10000Hz程度の鳴き声を出すこともあります)であることを考量すると、コアラの鳴き声の周波数は驚くべき数字です。

このような低い音を出せるのは、コアラが通常の声帯(喉頭<こうとう>声帯)に加えて、のどの奥に口蓋<こうがい>声帯という器官を別に備えているからです。
この口蓋声帯はコアラでしか知られていない器官であり、喉頭声帯より3倍以上も長いことから、初めて聞いた人をびっくりさせるような低い声で鳴くことができるのです。

動物園教育普及等担当主幹  今西 鉄也

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